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ポール・ラドニック「これいただくわ」


金曜日の本
ポール・ラドニック「これいただくわ」





さて、究極の選択です。

お店で出会った素敵な商品。
本当に素敵なんだけれど、その分お値段もそうとうなもの。
買えば買ったできっと後悔する、
でも買わずにそのまま帰ってしまったら、
「あの時…」と死ぬまで後悔するだろうという状況。
さて、あなたならどうする?

「これいただくわ」の主人公ジョー
の母親レックラー夫人の妥協案はというと、
これが万引きなんです。

「もしね、好きになったものがあって、その気持が通じたら、
いっしょに連れて帰ってもいいのよ」

こっそり隠された戦利品を見つけた幼い我が子に対して、
レックラー夫人はあっさりとこう言っちゃうのです。

しかもそのすご腕ぶりときたら…。
オータム・クレセンド模様の純銀の食器セットが
二十人分揃ったマホガニーの箱、
ティファニーのアンティーク趣味な
ステンドグラス・ランプシェード。

そして息子ジョーが忘れられない母の戦利品は、
台所の模様替えのための
壁張り用ビニールの巻いたのを八本。

うは~っ、
どうやってそれらを万引きできたんだろう?
ってなものばかり。

でも、このレックラー家は、
物欲だけに支配された狂気の家ではないんですよ。
正統派のユダヤ教信者とは言えないまでも、
ユダヤ教の行事を大事にする家庭で、
家計はしっかりと管理され、
両親共にしっかり働きに出て
子供たちにも早いうちから労働によって金銭を得ることを教え込む、
そんな真っ当な家庭なんです。

母親の病的な、
そして天才的な万引き癖に対して、
勿論ジョーは色々と心配しております。
おりますが、
実はこのジョーがまた困った人だったりするんです。
そう、
万引きなんてしないけれど、
彼の得意技はスリだったのです…。

という一品。

ポール・ラドニック
「これいただくわ」白水社

2002年11月24日に読了した折の感想を元にご紹介いたします。

主人公ジョーは、
母親と母の二人の姉妹が「紅葉見物」のために
一週間ニューイングランドへの旅行に行くのに
同行することになります。

愛情を持って
辛らつな軽口を叩き合うほどの仲の、
ふわふわのスポンジケーキや
マシュマロなど
スーパーでお手軽に買える甘いものが大好きという、
キュートな仲良し親子。

びっくりするような性癖を持ってるっていうのに、
母子の掛け合いのチャーミングさを前にしたら、
あっという間に二人のことが好きになること請け合い。

さて、二人の叔母と合流する前に。
ジョーは母親からある決意を聞かされます。
それは、
定年で家にいるようになった夫の為に
家の改装がしたいのだけど、
先立つモノが無い。
だから、
強盗をするつもり。
ついてはお前も手伝うように…。

なんてキュートなバカ話!
これが私のとにかくお薦めの理由ですね。
まず登場人物がキュートなんですよ。
ジョーやレックラー夫人はもちろんのこと、
後から登場する二人の叔母さんがまたチャーミングでパワフル。
ダイエット理論も可愛いの。
ロールパン半分、
ケーキをひとかけ、
ちょこちょことつまむ分には神様も数にお入れにならないとかね。
いつまでも仲良しの姉妹の微笑ましさ爆発です。

一週間の「紅葉見物」と称する
お買い物行脚の旅も、
可愛いし、
何よりみんなのお買い物哲学がいいんですよね。

掘り出し物をあさり尽くす!
とか病的な万引き癖!
とか、高級ブランド神話!
みたいな下品な話ではないの。

ニューヨークのブルーミングデイルから
メイン州のL.L.ビーンまで、
大胆かつ繊細な
一大お買物ファンタジーが展開されていくのですよ。
そう、
ファンタジーですよ、もうこれは。


これだけ圧倒的なキュートさと
ぞくぞくするようなスリルを畳み掛けておいて、
このラストはちとぬるい、
とお思いの方もあるでしょう。
訳者さんすら、
あとがきに「終りが腰くだけ」
と言わしめてしまうぐらいなので、
それはもう、
盛大にぬるい、
とも言えましょう。
でも、
でも、
このラストのぬるさを補ってあまりある面白さがある、
と思いますよ。

偉大なるB級小説、というところでしょうか?


ちなみに、
作者ポール・ラドニックは
映画制作にも関わっている方で、
笑いあり涙ありの
映画「ジェフリー!愛はセックスだけじゃない」
Jeffrey.jpg

の原作・脚本を手がけていらっしゃるのだとか。
実は私、
この映画がひそかにお気に入りだったりします。
「これいただくわ」を読んで、
その映画の原作者だと知った時はもう、
はげしく納得したものです。
大上段に構えた大真面目なバカっぽさとはじけっぷり、
はげしくハートウォーミングな味わいながら、
どこか失敗作の予感を感じつつも愛さずにはいられない…
みたいな映画だったんだもの。
いや、失敗作じゃないですよ。




以上の文章は、
わたしの放置サイトの

「だれも薦めてない、というと語弊があるけれど、面白い!と私が思った割にはあまり知られてない、あるいはあまり人に好かれなかったのかもしれない本をご紹介していく企画」

で掲載したもの。
以前一番最初に転載した
「アフルー 憎まれっ子奮闘記」と同じ企画記事でした。

実はこの企画では、
今後の予定として
「ロデリック・ランダムの冒険」
「歯とスパイ」
を紹介しますと予告だけして
そのままになってました。
このブログでそのうち紹介できたらと思ってます。


そうそう
万引きは犯罪ですよ。
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 2014_10_03


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