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アリステア・マクラウド「冬の犬」


アリステア・マクラウド「冬の犬」







アリステア・マクラウド「冬の犬」
新潮社

カナダの寡作な作家マクラウド。
彼の31年間に書いた16編の短編の内の8編が収められた短編集です。
残りの8編は先に出版された
「灰色の輝ける贈り物」に収録されています。

「すべてのものに季節がある」は、10ページほどの掌編。
ケープ・ブレトン島の農場で生まれ育った「私」はその年11歳だった。
真実は知っているけれども、
まだサンタクロースの存在を信じることに取りすがっていたい。
そんな微妙な時期の少年の心の機微を、
繊細に、そして鮮やかに切り取った作品です。

もうこの巻頭の作品で
あっという間にマクラウドの描き出す
静謐な生の世界へ引きこまれます。
なんて美しい世界だろう…って。

「冬の犬」は、
雪の日の朝の子供たちと
どこからかやってきた犬との姿を見ながら、
12歳の時に飼っていた犬のことを想起するものがたり。
表題作として、
確かにとても印象深い作品でした。

「完璧なる調和」は、
山頂近くの家に一人で暮らす老人アーチボルトの物語。
彼は若くして妻を失い、
弟を失い、
妻が残した三人の娘を親戚にあずけてずっと山で暮らしていた。
いつも身ぎれいにしていて、
姿勢のいいアーチボルトは、
変人と思われていたかも知れないが、
ある種の威厳があった。
そして失われつつあるゲール語を解し、
また古いゲール語の歌の最後歌い手として
民俗学者が時折尋ねてくる存在だった。

深い味わいを残す作品でした
アーチボルトの存在感の重みは、
どう表現したらいいのか分らないような感動を覚えました。
ラストのアーチボルトの心を揺さぶったものには、
彼に一瞬同化してしまったなぁ。

「鳥が太陽を運んでくるように」は、
心優しい一人の男が
灰色の子犬を拾ったことから始まる一族の呪縛の物語。
多分あらすじをざっと書いても、
単なるホラーになっちゃうと思うのだけど、
これがマクラウドの文章に掛かると、
とても静謐で深みがあるんですよね。

「幻影」は、
「私」の父と父の双子の弟が
11歳のときに垣間見た祖父の裏側から、
現在へ続く一族の物語。
複雑に絡み合った人間関係と愛。
本書に納められた作品の中では一番色彩を感じた作品でした。
いや感覚的に、ですが。

「島」は、
小さな島にすむ灯台守の一家の娘の物語。
その小さな島は
政府に任命された灯台守とその家族だけしか住んでいないんです。
物語の主人公アグネスの祖父がこの島で死んだ後も、
夫が死んだことにより
灯台守の仕事を失うかもしれないという恐れによって
祖母はその死を報告せずにいます。
アグネスが生まれたのは、
他の赤ん坊のように本島ではなく、
この小さな島でした。
父が60歳母が50歳に近く、
もう孫もいるという程の遅い子供。
小さな島で生まれ、育ち、
父の後を継いで灯台守として島で生きるアグネス。
美しい程厳しい島の自然と寡黙な人間の暮らしに、
ぞわっとするような静かな迫力を感じました。

他、「二度目の春」「クリアランス」などが納められています。

もうね、
読んでる間ずっと
何とも言えない美しい映像が
無音の中に浮かんでくるんです。
美しいと言ってもいわゆる風光明媚な風景ではなくて、
もっと厳しい美しさ。
冷たい風と水の匂いに混じる
濡れたけものの匂いまで感じ取れそうでした。




この感想は、日付が残ってませんでした。
2004年以降、2005年以前のどこかで読んだんだろうとは
思うんですが。
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 2014_10_02


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