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アリステア・マクラウド「灰色の輝ける贈り物」


アリステア・マクラウド「灰色の輝ける贈り物」



この人の感想を
3つほど書いてるんですが、
それがイチイチくそ長いので
一作ずつのアップにします。

さて
アリステア・マクラウドは
今年の4月に77歳で亡くなった、カナダを代表する作家です。

今日、書店に行ったら
新潮クレスト・ブックス2014-2015の小冊子があって
ちょっとしたクレストブックスコーナーが作ってありました。
クレスト・ブックスフェアとかやってたんですね。

今回から紹介するアリステア・マクラウドの本もありました。
小冊子には
アリステア・マクラウドを追悼したページも。
担当編集者が「石の彫刻家」と呼んだ作家。
言葉が現れ出るまで大変な時間がかかるけれど、
巧みに彫り上げられていて、
いつまでも消えないように思えるから
という。
ああ、そんな感じです。
本当に。




アリステア・マクラウド「灰色の輝ける贈り物」
新潮社

うーん、良かったです。
最後の一篇を読み終わったときに
深いため息をついてしまうぐらい、
何か心にじわ~っと沁みるものがありました。

作者はカナダ生まれ。
カナダのケープ・ブレトン島で育ち、
きこり、坑夫、漁師などをして学資を稼ぎ博士号を取得、
一昨年まで大学で英文学を教えていたのだとか。
そしてその傍ら
こつこつと短篇小説を発表しつづけていたのだそうで、
その総数は31年間で16篇。
唯一の長編小説がカナダでベストセラーになったのをきっかけにして
今まで発表してきた短篇が本になったのだそうです。

この本はその16篇の中の8篇が納められています。
専業の作家では書き得なかっただろう
と思われる味わいがありますね。
書きたい事、
書かなければ成らなかった(精神的にね)テーマが
凝縮されているという感じがひしひしといたしました。

貧しく、荒っぽくて厳しい自然と向き合った
移民の島ケープ・ブレトンを舞台に、
漁師、坑夫、農夫たちの暮らしと、家族たちの物語。
それがこの短篇集「灰色の輝ける贈り物」です。

巻頭の物語「船」は、マクラウドの処女作。
32歳のときの作品ですね。
漁師の家庭に生まれ育った青年を描いた物語ですが、
処女作らしいむき出しの苛立ちや孤独感、無力感が感じられました。
ちょっと文章が気張ってるかなぁと思いますが、
なかなか良かったです。

「秋に」は、貧しい農家の少年の物語。
年を取った馬を売るという一つの出来事を、
すこし物事がわかり始めてきた少年の視線で描いてあります。
うう~ん、
切ない無力感に打ち震えました。

「夏の終り」は最後に収録された物語。
これは一人の、もう若くはない坑夫の物語。
ストーリーに起伏はなくて、
坑夫の一人語りの物語なんですが、
ここまで読んで来た作品の最後に相応しい、
なんとも深い味わいのある作品でしたね。

とても良かったんですけど、
ちょっとだけ不満もありました。
うーん、
時々
訳者さんのセンスを疑ってしまうような
個所があるのが気になったんですよ。例えば擬音
「サヤサヤと」
「ゴーゴー、ガーガー」とか、
「干しダラ」、「ハーハーあえいでいる」
とかの片仮名表記ですね。
なんか品が無くて
そこだけ妙に浮いちゃってる気がしました。
せっかくの静かで厳しい雰囲気の物語なのに。

ささいなことですが、
「31年間に16篇」が謳い文句になるほど、
作者が丁寧に紡いできた作品たちなのならば、
訳もやっぱり丁寧に扱って欲しい気がして、
そこが残念に思いました。
(2002年12月22日)
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