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スタニスワフ・レム「ソラリス」



スタニスワフ・レム「ソラリス」
国書刊行会 (沼野充義訳)

ソラリス・ステーションに降り立ったクリス・ケルヴィンは、
そこに漂う不穏な空気に戸惑った。
様々な容器やパラシュートなどが乱雑に放置され、
床には書類やゴミが散乱していたのだ。
開いていたドアの中に入ると、一人の男がだらしなく椅子に腰掛けていた。
スナウトといって、
ギバリャンの補佐役をつとめているサイバネティクス学者だった。
彼は何かにひどく怯え酔っ払って
まともにケルヴィンと会話することが出来なかった。
なんとか聞き出せた話によると、
今日の明け方ギバリャンは死に、
サルトリウスは上の自分の実験室にこもって
夜まで出てこないということだった。
そして、スナウトは謎めいた忠告を付け足した。
「おれでもなく、サルトリウスでもない誰かを見つけたら、
そのときは……何もするな」

ソラリスは赤色と青色の二つの太陽のまわりを
安定しない軌道で回っている惑星である。
ほぼ全面を覆う海と、わずかな台地。
酸素はなく、陸地に生命体はみとめられていない。
ではソラリスの表面のほとんどを覆うという海はどうだろうか。
これは長く地球で論争されてきたことだった。
端的に言えば、
天才的な能力をもった巨大な前(プレ)生物か、
あるいは、地質学的に形成された重力ゼリーか。
現在、ソラリスは
たった一つの生命体を有する惑星であるという説に落着いていた。
そして、この唯一の生命体であるソラリスの海と
人類がコンタクトをとることが出来るのか
という問題と長く取り組んできたのだった。

ギバリャンの自室を調べた後、
ケルヴィンは廊下で巨大な黒人女の姿を目撃する。
女はケルヴィンの姿にまるで気がつかない様子で通りすぎ、
ギバリャンの部屋へ入っていった。
あれがスナウトの言った「誰か」なのか。
ギバリャンの部屋で見つけた本に朱線の引かれていたアンドレ・ベルトンという、
かつてソラリスへ調査に来ていたパイロットの身に起こった事とは……。
自殺したギバリャン博士、
自室に誰かと籠っている様子のサルトリウス博士、
詳しいことは何も口にしようとしないスナウト博士。
何もかも狂っている。
しかし、これは狂ったケルヴィンの頭が見せている妄想ではないのだ。
その確信を得た直後に、
彼の前にかつて自殺した恋人ハリーが現われたのだった。

うは、ちょっとあらすじが長すぎました。
あらすじ書くのって難しいわ。
映画「ソラリス」について難解だ難解だと聞いていたので、
結構身構えながら読んだ部分があるのだけど、
なんだかとても読みやすくて、
物語へ入っていきやすかったので驚いちゃいました。

ケルヴィンの死んだ恋人、
というかソラリスで彼の前に現われた恋人ハリーが
なんかとても切なかったですね。
どんどんと彼女の理性や感情が人間として整っていく過程は溜息ものですよ。
そして、なによりもこの静けさ。
物語が進めば進むほどにその静謐さは深くなっていくんです。
読了後の余韻も、こう、
おなかの底でゴーンと何かが響いてるみたいな感じ。

作中にちりばめられた、
ソラリスについての長い研究のさまざまな記録の一端を
読んでいくのも楽しかったですね。
読めば読むほどわからない星で~。
ソラリス学の歴史の深さと、結局未だ何もわかってないって事実。
読み始めて初めの方で想像した
ミステリアスで動きの多い(アクションという意味じゃないけど)SF?
って手ごたえとはまた違う味わいが楽しめます。
作中では順番どおりにソラリス学についての記述が出てくるわけじゃないけど、
読んでるとちゃんと頭の中で統合されていくんですよね。
うーむ、これがレムの筆力ということでしょうか。
ストーリーだけを抜き出して追っていっても
充分に素晴しい作品だと思うけど、
やっぱりこのソラリス学についての記述がキモですよ。
多分。

「ソラリスの陽のもとに」飯田規和訳との違いですが、
どうも、旧訳の底本がロシア語訳だったのに対して、
新訳はポーランド語からの直接の訳ということと、
旧訳が原稿用紙40枚分ほど削られているのに対して、
完訳だということ。
どうもネットで情報収集したところによりますと、
この補完された部分のほとんどが
ソラリス学についての記述の部分だということです。
あとがきによると、
出来るだけレムの叙法のテイストを正確に取り入れたのが新訳、
ということみたいです。
となると、もしかしてもしかして、
旧訳の方が読みやすかったりするのかなぁ……。
(2005年6月28日)
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