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レナーテ・ドレスタイン「石のハート」



レナーテ・ドレスタイン「石のハート」
新潮社

これは何と言うか非常に辛い本でした。
でも良い本でした。
ヒロインの痛みがありありと伝わってくるんですよね。
すごく引き込まれてしまいました。

30年前の惨劇によって、
両親と幼い弟を除いた兄弟たちを一度に失ってしまったヒロイン、エレン。
彼女は今再び惨劇の舞台となった我が家へ戻ってきています。
そこは惨劇の舞台でもあり、
平凡だけれども楽しい幼い日々を過した我が家でもあるのです。

30年前エレンと家族を襲った事件とはどういうものだったのか。
物語の序盤ではなかなか具体的に明らかにされません。
12歳のエレンと幼い弟だけが生き残った惨劇とは一体何だったのか。
何故それが起こってしまったのか。
その謎は、現在のエレン、事件前の少女エレンという視点が
折り重なって少しずつ読者に明かされていくのです。
その間に、
事件後のエレンのたどった苦しみの日々が織り込まれてるんですが、
どうもとにかく読者の同情を引く不幸なヒロイン像
とはならないんですよね。
泣かせるドラマチックな展開を排したストーリーと、
誰にも心を開かないまま生きているヒロインのためでしょうか。
読み進めて行くうちに、
エレンの周囲の人間に対して、
「ああっ!全然分ってない!」と
憤慨してしまうようなシーンが何度も出てくるんですが、
だからって簡単に同情という感情へは結びつかなかったですね。
いや、ヒロインが好きになれないというわけではなかったですが。
どう表現したら良いのかわからないんですが……。
少女時代の物語がすごく良くて、切ないんですよね。
子供時代をようやく離れつつあるエレンと、
ちょっと背伸びして大人と子供の間にいる兄と姉のエピソードが
特に印象的でした。
読者はこの後家族に大きな悲劇が起きるという事はわかってますが、
どこにでもあるような
家族の愛情に裏打ちされたさまざまなエピソードに、
少しずつ暗い影が差していく、
この緊張感にはすっかりやられてしまいました。

この作品かなり痛くて暗いのに、
不思議と重たい感じがないんですよね。
心の傷を負ったまま大人になったエレンに対して
作者がどういった先入観も与えないような描き方がされていたからでしょうか。
時間はかかるかもしれない、
引き攣れた跡は残るかもしれない。
でもきっと生き続けている内に傷は癒される。
そんな気持にさせてくれる本でした。
(2003年1月14日)




私調べマイナー度で、
なぜあの時こんな位置に甘んじる結果になってしまったのか。
今回もう一度チェックしたら検索結果が300未満という
高いマイナー度をたたき出した作家です。
一応「完全一致」で検索したんですけど、
たまたま何か別のものを拾ってしまったのかも。
なので、
もしかしたら、
もう一度全部調べなおしたら、
この作家がマイナー度第一位になる可能性が高いです。
恐ろしい。
まあ、マイナー度は実は高かったという作家ですが、
この作品はよい作品ですよ。
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 2015_10_10


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