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デイヴィッド・イーリイ「ヨットクラブ」



デイヴィッド・イーリイ「ヨットクラブ」
晶文社

アメリカの作家、デイヴィッド・イーリイの第一短編集。
イーリイがもっとも活発に創作活動をしていた時期の作品を
集めたものだそうで、収録作品は全部で15編。

ここのところ、
ホラーともミステリともSFともファンタジーとも括れない、
まさに「異色短編」集を読む機会が多かったのだけど、
本書がまた、とてもとても奇妙で面白くて。
すっかり夢中になって読みふけってしまいました。
たとえば、
あまりにも何気なく披露される奇妙な歪み。
はじめはうっかり気が付かずに行き過ぎてしまって、
ふと振り返って見て愕然とする。このヤラレタ感がたまりません。
収録作品の中で特に気に入ったのが、
「タイムアウト」と「G.O’D.の栄光」。

「タイムアウト」は、
イギリスに憧れ以上の気持を寄せつづけながら、
何故かイギリスへ行く機会がふいになってばかりの歴史学者の物語。
真面目だけがとりえのようなガル博士は、
なんどか訪れた訪英のチャンスをことごとくつかみそこなって、
今は大学教授として、
こつこつと引退のその日に向って平凡に暮らす男。
アメリカからイギリスへ、
なんていつでも行けそうなものなのに……
とも思えるのだけど、
少なくともこの二年間はガル博士のみならず、
ほとんどの人間が国を出ることができなくなってる
という事実があります。
北極で原子力事故が起こり、
すべての国際的な貿易と旅行を一時凍結する
というアメリカとロシアの共同声明が、
二年前に出たからです。
ところが、
政府がその凍結を解除して、
イギリスの人文科学的調査を許可すると発表したのでした。
ダメ元でこの調査団の団員募集に応募したガル博士でしたが、
本人も驚いたことに、その一人に選ばれます。
待ち焦がれたイギリス。
長い年月をかけたイギリスへの憧憬と
イギリス旅行に関する書物と地図を携えて、いざイギリスへ。
しかしガル博士たちを待ち受けていたのは……。
悪夢のごとき設定と、
あくまでも真摯なガル博士の姿勢のかもし出す捩れたユーモアに脱帽でした。

「G.O’D.の栄光」は、なんというか、
理屈ぬきに魅了されてしまったヘンな話。
ジョージ・オドンネルは自分が神であることを
子供の時から分かっていました。
なぜなら、孤児であった彼の名前を略すとG.O'D.となるし、
自分の名前を文字に基づいた暗号システムによって聖書を解読し、
謎めいたメッセージを受けとったから。
そして
何より唯心論から、
「わたしが死ねば、あらゆる創造物が死ぬのだ」と思い、
「私の存在だけが大事なのだ。要するに、わたしは神だ」
という結論に到ったのです。
しかし、
神であることは他人に公表できるようなことではない。
彼はあえて他人との接触を出来る限り減らし、
職場でもどこでも孤独を通してきました。
しかし、それはとてつもない重荷でもあったのです。
この孤独と重圧を誰かと分かち合いたい。
彼はこんな新聞広告を出すことにしました。
「自分が神だと信じている方、詳細を聞きたし」
淡々とそしてじわじわと熱をこめて語られるという怖さ!
やばい。
 
その他、
「理想の学校」での、
あ~いままでのが全部落ちのヒントだったんだ~
って気が付いたときのショック、
「隣人たち」の真綿で首を絞められ続けるような緊張感、
「夜の客」の、冷え切った夫婦の熱すぎる氷のバトル、
「日曜の礼拝がすんでから」の、
用心していたのに思いもよらないところから飛び出してくる恐怖
などにもくらくらするような面白さを感じました。
(2005年6月3日)
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