スポンサーサイト

Category: スポンサー広告  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 --_--_--


ミネット・ウォルターズ「蛇の形」



ミネット・ウォルターズ「蛇の形」
創元推理文庫

「マッド・アニー」と彼女は呼ばれていた。
グレアム・ロード唯一の黒人の住人で、
がっしりした体格にひどく排他的な態度。
酒好きで、いつも妙な格好で歩き回り、
一人でぶつぶつつぶやいたり、汚い言葉で突然ののしったり。
ヒロイン、ミセス・ラニラはある晩、
アン・バッツ通称マッド・アニーと呼ばれる一人暮らしの隣人が
道ばたで倒れているのを発見する。
アン・バッツの死に対して警察の出した答えは交通事故死。
しかし、
ミセス・ラニラはアン・バッツの死が
殺人によるものだと主張しつづけた。
その主張でミセス・ラニラが得たものは、
精神をすり減らすほどひどい周囲の人間からの嫌がらせと、
夫であるサムや実母からの激しい非難だけ。
やがてラニラ夫妻は海外へ引っ越すことになった。
そして20年後、
ラニラ夫妻は二人の息子とともに再びイギリスに戻ってきた。
それは、彼女の20年間心の奥底に沈めてきた問題、
アン・バッツの死の謎に正面から向き合うための帰郷だった。
ミセス・ラニラは海外生活中の20年、
夫サムにも母にも何も言わず、
水面下でひそかにあの事件の関係者たちの追跡調査を進めていたのだった……。

うは~。
ずっしりと読み応えのある、
背筋のぞくぞくするようなミステリーでした。
ウォルターズの作品は、どれもそうなんだけど、
読む前にちょっと気合が必要なんですよね。
これから人間の内面を鋭くえぐるヘビーな作品を読むぞって。

本作も、やっぱりヘビーな作品でした。
誰も彼も無傷ではいられないの。
アン・バッツの事件を語ろうとすると
つい激昂しちゃって抑えられなくなるヒロインの、
つとめて自分を抑えようとしてるところもぞくぞくするぐらい怖い。
読み始めは、黒人への人種差別が生んだ地域ぐるみの事件?
なんて読んでたんだけど、
どんどんそんな一言で問題が片付けられなくなってくんです。
いえ、
もっと大きな事件に、というのではなくて、
事件に関わりあった人達ひとりひとりの内面に食い込んでくる
って意味ではもっと狭い範囲になるんだけど。

実は読みながらこのヒロイン、ミセス・ラニラに
どうも心からの信頼が寄せられなかったんです。
なんで20年もアン・バッツの事件に粘着してるのかもそうだし、
冷ややかなヒステリックさというか、
そんな感じの、
読者に落ち着かない気持にさせるような言動もそう。
でも、物語が進むほどに、
これが様々な裏事情を示していくの。
その過程に圧倒されました。

読み終わったあと、
まだ作品に圧倒されててしばらく放心状態になってしまいました。
で、その後がんばってあらすじを書こうとして、
ある事実に気がついて愕然としてしまいました。
それは、ヒロインの名前が思い出せないこと。
さっきまで、彼女の語りですすんでいくこの物語を読んでたのに、
「ミセス・ラニラ」としか思い出せないの。
えーっ……何で??とあせって、
さっき置いたばかりの本をぺらぺらと捲ってみました。
が、見当たらないんですよ。
ももももしかしたら、何度かは出てきたのかもしれないけど……
もしかして……。
そう考えると、うは~またまたウォルターズにやられちゃったかも、
と改めて背筋がぞぞっとしたのでした。
(2005年4月3日)
スポンサーサイト

 2015_09_11


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


06  « 2017_07 »  08

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

プロフィール

Sima

Author:Sima
わたしが超個人的におすすめする児童文学100選
是非コメントください。
よろしくお願いします。

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

ランキング




PAGE
TOP.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。