アントニイ・バークリー「ジャンピング・ジェニイ」
国書刊行会
小説家ロナルド・ストラットンの屋敷で開かれた
参加者が有名な殺人者か犠牲者に扮するという趣向のパーティ。
そこに参加していたシェリンガムは、ロナルドの弟の妻に興味を抱きます。
と、言っても下心のある興味ではなくて、
単純に、
このヒステリックな言動で
周囲の人間から顰蹙を買っている自己顕示欲のやたら強い
シーナという女がどういう人間なのかに興味を持ったというだけ。
常に自分が中心に居なければすまないシーナは
どうやら(夫を含めて)みんなの嫌われ者らしいのでした。
やがてパーティも終わりに近づいた頃、
パーティの余興として屋上にたてられていた絞首台に
そのシーナの死体がぶらさがっているのが発見されます。
げぇっ!またおんなじ様なことやってる!
と、うっすら思ったりしましたが、
当然ですが、同じじゃないんで!
すっごく面白かったですよ。
まず、
事件がどのようにして誰によっておこったのかが提示されて、
その後われらがシェリンガムが迷推理でバタバタ立ちまわる
という感じの展開なんです。
しかも、
一見自殺に見えるこのシーナの死が
殺人であることを嗅ぎつけたシェリンガムが、
大ぼけのミスを犯してしまって、
逆に犯人に見なされてしまうところなんて愉快そのもの。
ラストもまたもう一つ真実が密かに明らかになって……。
今まで読んだバークリーの作品の中でも一番面白かったかも。
ってまだ三作目ですが。
(2001年11月6日)
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