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J・M・クッツェー「マイケル・K」



J・M・クッツェー「マイケル・K」
筑摩書房

面白かったです。
なんだかちょっと不思議な手触りの作品なんだけど、
ぐっと引き寄せられる強い引力を感じました。

マイケル・Kは、
かれの兎唇について何か言われるのを嫌がった母親の元で、
幼少時は他の子供とも接する事無く母親と離れる事無く過ごし、
学齢に達すると、
身体の障害と精神的な遅れを理由に
養護院で15歳までを過ごします。
その後、
ケープタウン市の市営公園管理局に庭師として就職、
その容貌の為か女友達も作らず、
孤独を愛し、真面目に働き、
日曜日の午後には母親を訪ねるのが日課でした。

戦時下(内戦?)の不安な空気が漂う中、
病気になって気弱になった母親が
故郷プリンス・アルバートに帰りたいと言い出した事から
マイケル・Kの平穏な、平凡な生活は、
カチリと音を立てて路線が切り替わってしまったのでした。

この作品は三章に分かれていて、
第一章はマイケル・Kの視点で、
彼が生れてからの来し方が描かれ、
第二章は、リハビリキャンプの一人の医師の視点で、
衰弱して保護されてきた不思議な男「マイケルズ」(マイケル・K)が
キャンプを脱走するまでの間が描かれます。
第三章は再びマイケル・Kの視点に戻ります。

やっぱり引力強いのはなんと言っても第一章ですね。
全体の三分の二という分量で描かれるのは、
不条理なロードムービーみたいな物語。
もともと「精神の遅れ」で
普通の学校に通うことが出来なかったマイケル・Kの、
かれの視線の高さで描かれてるので、
彼に直接降りかかってくる事柄以外の南アの政治とか状況とかは描かれないの。
しかもマイケル・Kの体感時間で綴られるので、
読んでる方は時間の流れが掴みにくくて
ちょっと頭がこんがらがってしまいそうになります。
しかし、すっごく面白い。

多分、深読みすれば、
色々と政治がらみの読み方も出来るんでしょうけれど、
それらをすべて念頭から外して読んでも面白い作品だと思いました。

病気の母との、未知の土地への不安な道行、
そして道中その母親が死に、母親の遺灰とともに、
母の思い出の土地であるプリンス・アルバートを目指すマイケル・K。
たどり着いた地で、人と離れ一人で生きるマイケル・K。
何度も痩せ衰えた姿を発見され、保護され、庇護され、
脱走するマイケル・K。

そういえば、第二章の存在も道化っぽくてよかったですね。
保護されて来たマイケルズという男が
食事を取ることを拒否しているのに対して、
こいつは白痴なんだと思いつつも、
男の姿勢の中に勝手に思想を見出してみたり。

ちなみに本書は1983年のブッカー賞作品だそうです。
(2003年11月2日)
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 2015_08_14


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