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J・M・クッツェー「少年時代」



J・M・クッツェー「少年時代」
みすず書房

タイトルが想像させる通り、
クッツェーの少年時代を描いた自伝的小説なんですが、
ここでは、
主人公(少年時代のクッツェー)を「その子」と
徹底して突き放して登場させています。
でも「その子」の内面の葛藤がすごく細かく描かれてるんですよね。

物語は、少年が10歳前後から13歳のころまでの数年間に、
ところどころもっと幼い頃の回想を織り交ぜて描いてあります。
舞台は1950年代前半の南アフリカの地方都市。
アフリカーナー(オランダ系白人)の姓を持ちながら、
イギリス人社会に暮らす「その子」は、
母親に溺愛されているひ弱な少年で、
学校ではひたすらおとなしく、
家の中では暴君のように振舞っています。
無神論者で、
アフリカーナーの姓を持ちながらイギリス人のごとくに暮している
「その子」の家庭の複雑さからか、
常に自分がアウトサイダーであることを痛感し、
微妙な自尊心と自己嫌悪または罪悪感に揺れるエキセントリックな少年時代。
痛々しいんですよね。
それでもって、
なんだか微妙に共感してしまうのでした。
コドモ時代って、
こういうエキセントリックで恥辱にまみれた時代でもあったりするんだよなって。

自分と弟を溺愛し献身的に守ってくれる母親に対して、
愛されたい愛されて守られて当然という気持ちと、
その母親に抱く苛々。
はじめはガキの甘えだって思ってたんだけど
(もちろんほとんどはそうなんだけど)、
この愛憎の激しさがクッツェーなのかも、
なんて思ったりしました。
物語の最後のほうで、
アルコール中毒と借金で家族を苦しめながら
それを自分でなんとかしようともしない父親に対して、
意固地にも見える自己犠牲を自分自身に強いる母親に
「殴ってやりたい」程の怒りを感じるシーン。
わかる!かも知れない。

南アフリカと言えば、やっぱりアパルトヘイト。
「その子」の生活半径の中の出来事を描いたこの物語にも、
当然のごとくあります。
と、言うか生活の基盤としてあるわけです。
ここで私はうーんとうなってしまいました。
あまりにも私は何も知らなかったという事実に。
黒人、カラード、そして白人の中にもイギリス人、
アフリカーナーという分け方があるんですね。
この作品は
そのイギリス人とアフリカーナーの境にある
という微妙な立場の少年が主人公なので、
実はあまり他の人種と何かあった……ということがないんです。
黒人には黒人の生活があって、
カラードにはカラードの生活圏があるって感じ。
南アフリカの75パーセントぐらいが黒人なのに、
「その子」が出会ったことのある黒人って、片手で数えられる程度なんですよ。
なんだかなぁ、
そうなんでしょうね……でも……そうなのか……。
と、何とも言えない複雑な気持ちになりました。
(2002年10月14日)
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