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サルマン・ラシュディ「真夜中の子供たち」


サルマン・ラシュディ「真夜中の子供たち」
早川書房

波乱の近代インドを舞台にした、濃密な物語です。
この密度の濃さは、どういう風に表現したら良いのか悩むぐらい。
非常に混沌とした政治色の強さ、
リアリズムの中にし込まれた非現実的な世界(いや。逆か?)、
ガルシア=マルケスの「百年の孤独」の方が、
圧迫感とか閉塞感が少なくて読みやすかったかもしれない
と思うぐらいですね。
私としてはどっちかというと、
「ブリキの太鼓」っぽいものを少し連想させました。

でも
読みやすくないから面白くなかった
ということではないんです。
すっごい面白い作品でした。夢中になって読まされちゃいました。

物語は1947年8月15日0時、
インド独立の瞬間に生まれた子供サリーム・シナイの一人称で語られます。
この独立の最初の1時間の間に生まれた子供たち、
真夜中の子供たちは、
例外なく特殊な子供たちなのでした。
中でも、
0時ジャストに生まれたサリームはその巨大な鼻で、
あらゆるものの匂いをかぎ分ける能力と、
すべての真夜中の子供たちを頭の中に呼び寄せて
会議することが出来るほどのテレパシーを持ちます。
サリームとほぼ同時に同じ産院で生まれた、
巨大にふくれた膝を持つシヴァ。
二人の真夜中の子供たちには出生の秘密があるのでした。

この作品は、
サリームの2代前に遡ったところから始まるんですが、
ここがもうメチャメチャインパクトがあるんですよ。
もう出だしからぐっと引きつけられましたね。
サリームの祖父が、
ある早春のカシュミール晴れの朝に、
祈ろうとして霜柱で巨大な鼻を打ちつけたという最初のエピソード。
左の鼻腔から三滴の血が滴り、
それがたちまち凍ってルビー粒になり、
涌き出た涙はダイヤモンドの粒になった
という表現にすっかりやられてしまいました。
もちろんメルヘン的な表現ではないです、蛇足ながら。

 そして、祖父と祖母の結婚を取り持った穴あきシーツのエピソードも、サリームの妹でまだシンガーへと変貌する前のモンキーも好きですね。

すっごい面白いんだけど、
どうも諸手を上げて人にお勧めするのは気が引ける作品でもあります。
濃密なマジック・リアリズムの中に、
善悪とは違うどうしようもなく暗い情念と、
「終った後」の男の述懐ならではの
ある種の虚無感があるように思えるんで……。
(2002年7月16日)
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