スポンサーサイト

Category: スポンサー広告  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 --_--_--


フリオ・コルタサル「遊戯の終り」



フリオ・コルタサル「遊戯の終り」
国書刊行会

うう~ん、よいです。
掴みどころの無い悪夢を文字にしたような
幻想的な怖い短編がぎっしりです。
読んでて、
言いようの無い不安感にさいなまれ始めたころに
ふっと切り落とされる様に結末がやってくる、
この感じはもうコルタサルならでは?

この短編集は三部構成になっていて、
第一部は6編、第二部は7編、
第三部は5編の作品が収録されています。

第一部は、ごく短い3編の掌編と、
それよりも長い短篇が3編。
「続いている公園」「誰も悪くはない」「河」
この3編は、それぞれ2、5、4ページほどの掌編ですが、
どれも落ちがびしっと効いてて印象鮮やかでした。
「続いている公園」は、
「局面の終り」(「海に投げこまれた瓶」)などを思い出させる
虚実が不意に交差してみせる瞬間が鮮やか。
青いセーターとの格闘の臨場感あふれる描写、
痴話げんかの後の男のモノローグと思わせて置いて実は……
という展開。どれも掌編ならではのばしっと決まった感がありました。
「殺虫剤」は、
庭の蟻を殺す殺虫剤と少年の仄かな恋心を描いた短編。
本書中でもこの作品は特に好きですね。
何ともいえない不安な予感を残すラストに惹かれます。
陰気なホテルに泊まる男と、
申し訳程度にタンスで隠された隣室と繋がっているらしいドア、
赤ん坊の泣き声。
「いまいましいドア」は何が不条理かって、
ラストの男の安堵めいた結論が一番不条理。
ある指揮者によってコンサートホール全体をヒステリー状態が襲う
「バッカスの巫女たち」も、かなり好きな作品。
恐るべき熱狂の後の思いがけない冷たさがまたイイ感じですね。

第二部は7編。
幻想的というよりも、現実の中でのズレ、
みたいなものが描かれた作品が多かったように思います。
具体的な事件とか。
「キクラデス島の偶像」は
キクラデス島で発掘された偶像の複製を作る男の狂気。
やっぱりラストの温度差が印象的です。
「信じてはもらえないだろうが、ぼくたちは不死の存在なのだ」
と始まる「黄色い花」、
書簡のやりとりで語られる
例年恒例の夕食会について描いてみせる「夕食会」、
これは最後までさらっと読んでから、
あわてて最初の書簡から確認したくなるようなつくりが面白かったですね。
なんとも無様で詐欺のような楽隊の演奏を聴いたルシオの話を語る男の
「牡牛」は元ボクサーの男の話。
当人のモノローグのようでいて、
時々混じる別の人格が誰なんだろうと思わせます。
ちょっと切ないような読後感がイイですね。

第三部は五編。
「水底譚」
亡くなったルシオの話から、
ルシオには話したことのある夢の話になった。
それは河の夢で、水死体が登場する。
月の光に照らし出されたその水死体は、
はっきりと顔を出していたはずなのに、
その顔がどういうものだったかが全く思い出せない……。
ねっとりした独白という形が微妙な不安感を増幅させる感じ。
「昼食のあと」
昼食のあと、
「あの子」を散歩に連れて行くようにいわれたぼく。
「ぼく」がなにやかやと世話をしてやっている「あの子」の
姿が見えてこないところが怖いような、
でもなんだか妙に甘酸っぱいような不思議な気持に襲われます。
山椒魚を見ていて、
その山椒魚と意識が入れ替わってしまった男の「山椒魚」も
かなり面白かったです。
人間としての独白と
山椒魚になった男としての独白が混ざり込んでいるのが、
うねうね感をかもし出してます。
でも「桃色の三角頭」って、
なんだか私の抱いてる山椒魚のイメージと違うなぁ。
(と、おもったけど、あとでこの山椒魚がアホロートルの
ことだと分かりました。いわゆるウーパールーパーね)




えと、
実はここで感想は終り。
2002年1月11日初読了で、簡単な感想を書いてアップしたあと
しばらくして、今度はもうちょっと詳細な感想を書こうとして
ここで力尽きたらしいです。
書けなかったとおもわれるのは
「夜、あおむけにされて」「遊戯の終り」の二作。
って表題作じゃん!
ちなみに
最初の感想は

どれもよいのだけど、特に青いウールのセーターを着ようと思って、恐るべき
結末に至る「誰も悪くはない」、庭の蟻を殺す殺虫剤と少年の仄かな恋心を描
いた「殺虫剤」、ある指揮者によってコンサートホール全体をヒステリー状態
が襲う「バッカスの巫女たち」、意識だけが山椒魚と入れ替わってしまった男
の「山椒魚」などなど良かったですね。

でした。

スポンサーサイト

 2015_05_24


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


04  « 2017_05 »  06

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

プロフィール

Sima

Author:Sima
わたしが超個人的におすすめする児童文学100選
是非コメントください。
よろしくお願いします。

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

ランキング




PAGE
TOP.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。