スポンサーサイト

Category: スポンサー広告  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 --_--_--


スティーヴン・ミルハウザー「三つの小さな王国」



スティーヴン・ミルハウザー「三つの小さな王国」
白水社

タイトル通り三つの物語が収められた作品集です。

「J・フランクリン・ペインの小さな王国」
いや~めっちゃ素敵でした。
あんまりこの小品が素敵だったので、
残りの作品を読まなくても構わないかな~
と一瞬思ってしまったぐらい。(一瞬だけです)
1920年代のニューヨーク、
漫画家のフランクリンが
セルを使わない完全手作りのアニメーションを
ひっそりと作りつづけるというのが簡単なあらすじ。
この短編は非常に地味というか、
物語も主人公フランクリンの感情も起伏が少ない作品なんだけど、
最初の1ページからすでに溢れている甘い孤独感と
細かく描写される夜の静謐な美しさにすっかりやられてしまいました。
ちょっと硬質な感じがまた良いんですよね。
読みつづけて行く内に
ピンと張り詰めた緊張感に気が付くんですが、
その緊張感がまた読んでて心地良いんですよ。
その緊張感ってのは
ストーリー展開の上での緊張感ってのも勿論あるんだけど、
ミルハウザーの綴る文章がまた緊張感があるんです。
なんだろう……。
フランクリンが漫画やアニメーションに於ける
細部まで拘る姿勢と緻密な描写がシンクロするからかもしれないなぁ。

フランクリンの少年時代の回想部分の甘さもツボだったけど、
娘ステラとフランクリンの
静かでどっか危ういような生活もすごく良かったです。
フランクリンの作り出す魅惑的な幻想世界も、
無機物がミルハウザーの手によって豊潤な魅力を放つのも素敵。
この一作だけでもかなりの満足度が得られるんですよね。

「王妃、小人、土牢」
中世ぐらいのヨーロッパを舞台にした
王、王妃、城へやってきた辺境伯の三人+王の側付きの小人の物語。

流れる様に綴られる物語、
ではなくて、
「土牢」「城」「川べり」などと項目毎に短い文章があって、
それを読み進んで行くうちに
物語も展開するという結構実験的な作品です。
小人の有り方ってゆーか、
小人の内面の書かれ方がツボだったな~。
性根のよくない小人で、
けっして同情を引く存在ではないけど、
どっか共感したりして。

「展覧会のカタログ―エドマンド・ムーラッシュ(一八一0~四六)の芸術」
十九世紀前半、
最愛の妹と共にニューヨーク州北部の田舎に住んで
独自の絵画世界を構築した画家ムーラッシュ。
彼の作品とその背景を具体的に記述することで、
彼の残した絵画だけでなく、
芸術家としての彼の奇怪な生涯が浮き彫りにされるという、
「王妃、小人、土牢」をしのぐ実験的な作品。

詳細に語られるそれぞれの絵の特徴が、
まるで実際に現物を前にしているようなリアルさを
持ってるとこが凄いですねぇ。
「物」を描かせてえらく説得力がある上に、
直接語られるわけではない人物像まで
きっちり出来上がってしまうなんて凄すぎます。
ミルハウザーって何気に凄い作家だと確信しました。
(2001年9月14日)




おおー、
とうとうスティーヴン・ミルハウザーが、
わたし調べマイナー度ランキング順に登場するように
なってきました。
と、なんか一人で興奮。
これでまだランキングの折り返し地点に行ってないわけで、
私が大好きな作家が、
こう、イマイチな順位に甘んじてるのはつらいですね。
スポンサーサイト

 2015_05_02


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


06  « 2017_07 »  08

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

プロフィール

Sima

Author:Sima
わたしが超個人的におすすめする児童文学100選
是非コメントください。
よろしくお願いします。

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

ランキング




PAGE
TOP.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。