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ミュリエル・スパーク「シンポジウム」


ミュリエル・スパーク「シンポジウム」
筑摩書房

アメリカ人の画家ハーリー・リードと
オーストラリア出身の裕福な未亡人クリス・ドノヴァン
のカップルが催したパーティを軸にして語られる物語。
進行していくパーティの様子に、
10人のパーティ出席者たちの
パーティ以前のいくつかのエピソードが挟み込まれて、
中流以上の階級と思われる人々の集まる何気ないパーティの裏に
いくつかの毒がしのんでいることに気が付かされる。

なんとも皮肉に満ちた作品で、
思わず知らず顔がにやにやとしてしまいます。
タイトルがまたいひひっと笑ってしまうような嫌味な感じじゃないですか。
「シンポジウム」ですよ。
(日本でいうシンポジウムとあちらのsymposiumって違うのかな?
とりあえず日本語の意味で考えております)
でも、
実際に彼らが集まって交わす会話は、
基本的に本音を包み隠した当たり障りのない会話。
で、どこで辛らつな本音の応酬が拝聴できるのかと言うと、
それぞれの舞台裏なんですよね。

ホストのハリーとクリスが気になるのは、
何と言っても
オーストラリアの女性大実業家ヒルダ・ダミアンの一人息子
ウィリアムの結婚相手マーガレットについて。
一見まともでおとなしそうなお嬢さんだけれども、
なんだか裏があるように思えて仕方がないんです。
それにどこかで見た顔のような気がするし……。

ウィントツィンガー夫妻の舞台裏では、
目下彼らがそれぞれに愛情を注いでいる
アメリカ人の大学院生ルークについて。
お互いにルークと自分の配偶者の関係を気にしながら、
それをはっきり口に出すことも躊躇われるんですよね。
ハーリーについてのやや辛らつな評も。

スージー卿とその若い後妻の舞台裏は、
とにかくごく最近入られた強盗についてでいっぱいいっぱい。
とはいっても、
いっぱいいっぱいなのは夫ブライアン・スージーだけのようで、
若い妻ヘレンはちょっと冷笑ぎみ。
学生時代からの親友で、
現在は義理の娘になってるパールへの手紙で
飾らない思いの丈を披露してくれてます。
舞台裏の裏、というところでしょうか。

ダミアン夫妻の舞台裏……
というよりマーガレット・ダミアンの舞台裏は、
この物語の真の主賓かも知れません。
それは読んでのお楽しみですね。
とてもここで言葉にすることは出来ませんって。

登場人物はまだまだ。
誰もが知ってるホモセクシャルのローランドと彼のいとこのアナベル、
息子の結婚に表向きはいい顔しつつもマーガレットを信用してないヒルダ、
なんだかつかみどころのないあやしげな青年ルーク。
そして、
マーガレットの家族たち。
特に叔父のマグナスの存在感はいつまでも強い印象を残します。
精神病院に収容されてる狂人でありながら、
一家の相談事を引き受ける導師としての地位を確立してるんです。
はげしく「まともでない」のはこのマグナスだけですが、
それ以外の登場人物もそれぞれどこか歪んでるの。
でも、致命的な歪みではないところに、
スパークの鋭い皮肉が効いてくるのかも知れません。
切れ味がホント良くて、
うっかりするとしばらくその切り傷に気が付かないかもしれないぐらい。
洗練された職人技の域ですね。

やっぱりスパークって面白いな~ってしみじみ思います。
が!
が!
残念なことに、私が利用してる図書館には、
もう彼女の著作が置いてないんですよ。
そして、彼女の著作ほとんどが現在絶版らしいのです。
もうこれ以上彼女の作品を読んで、
そのほれぼれするような切れ味を楽しむことができないんでしょうか。
(2005年5月4日)
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 2015_04_29


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