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セバスチアン・ジャプリゾ「長い日曜日」



セバスチアン・ジャプリゾ「長い日曜日」
東京創元社

1917年1月、第一次世界大戦中のある日曜日、
戦場で5人のフランス兵士の身に起きた事とは……。

彼らはみな軍事裁判によって死刑とされた者だった。
「エスキモー」と呼ばれていた37歳の元家具職人、
「シ・スー」と呼ばれた31歳の元溶接工、
「あの男」と呼ばれた31歳の元農夫、
「普通犯」と呼ばれた26歳の元小悪党、
そして19歳の「ブルーエ(新入り)」と呼ばれていたマネクという青年。

彼らは「戦死」という一言で遺族へその死が伝えられた。
しかし1919年の夏、
マネクの婚約者だったマチルドは、
マネクを含む5人の男たちの「戦死」が一体どういうものだったかを、
エスペランザ伍長という男から聞かされた。
それは、ドイツ軍と睨み合うビンゴ・クレピュスキュルという塹壕で、
手を縛られたままの彼らをドイツ軍の前に放り出す、
という信じられない方法の処刑だった……。

真実はどこにあるのか?
彼らの中に生存者がいるという噂は?
車椅子のヒロイン、マチルドは精力的に調査を始めるが……。

うーん、読ませる本でした。
マチルドが執拗に調べ上げる5人の男たちについての事柄。
それは彼らがどうなったのか?という点だけには及ばず、
彼ら一人一人の過去や人格、
戦場での人間関係などどんどん広がっていきます。
それだけに登場人物も多いんですよね。
戦場での話を聞くことが多いせいか、
本名だけでなく、戦場でのあだ名なども頻繁に登場するし。
とはいえ、
マチルドの調べ上げたそれぞれの人物像がとてもしっかりしているので、
意外に名前がこんがらがる、ということはありませんでした。
本のはじめの方にある登場人物一覧も
確認する必要なかったぐらい。
ただ、
マチルドと同じように、
知りえた事実関係をメモしながら読んでいけばよかった……
と思うことしきり。
前へ後へ、
5人の男という五つの小道を
あっちへこっちへと渡り歩くような調子だったので。
人々の証言も似ているようで細部が違ったりして、
まるで「藪の中」状態。
ところがまたマチルドは根気良く
この藪の中を何度も何度も突いて
真相にいたるんですよね。
お見事というしかないかな、これは。

それにしても、
ヒロインのマチルドという人が
なんとなく一番謎の人だったような気がします。
よく言えばとても大らかな心の持ち主の、
文字通り「お嬢さん」。
奢ったところのない人で、
自分に正直な人なんだな、とは思いましたが。
まあ、意地悪な見方をすれば、
お金持ちのお嬢さんでよき協力者に恵まれていたことと、
障害者という彼女の体に関する悲劇が、
この調査を続ける上ではプラスに働いたこと
なんて風にも考えられなくもないですが、
一般人にはちょっと考えられないぐらいの大らかさと前向きな姿勢、
そしてちっともメロドラマ風の婚約者に対する愛情の吐露とか嘆きが
聞かれないところが、
この物語の大きな魅力となってたんでしょうね。
何しろ戦場での話がまた重いから~。
人間としての尊厳をぎりぎりに保ちながら
明日もわからぬ我が身に混乱しきった塹壕の内部。
これがヘビーだけどもとても読ませるんですよね。

実は、
私はこの作品の中で一箇所、
おもわずうるっと涙が滲んでしまう場面に遭遇しました。
それは、5人のうちのひとり、
「普通犯」と呼ばれる男の情婦だった女性が書いたマチルドへの手紙。
その中の、
自分がマチルドにこうして手紙を書いたことを
彼女を心配していた名付け親はよろこんでくれるだろう
という一文でした。
ううーん、なんだかんだ言って、わたしっておセンチさんなのね。
(2005年6月5日)
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 2015_04_06


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