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ロディ・ドイル「星と呼ばれた少年」



ロディ・ドイル「星と呼ばれた少年」
ソニー・マガジンズ

母ちゃんはいつも階段に座り込み、星を見上げて指差した。
それはちっちゃなヘンリー、
それはそれ以外にも星になってしまった沢山の赤ん坊たちなのだ。

ダブリンのスラムで生れたヘンリー・スマート。
兄はヘンリーが生れる前に星になってしまった。
ヘンリーの名前「ヘンリー・スマート」は、
父の名前であり、同時に、
星になった兄の名前であり、
少なくとも母にとってはヘンリーの名前ではないのだった。
父は消えてしまった。
母ちゃんはもはや星を見上げることしか出来ない。
しかしヘンリーには弟ヴィクターがいて、
そして父の残した義足があった。
5歳のヘンリーは弟と共に路地で生活しはじめるのだった。

うん、すごい作品でした。
ヘンリーの一人称で語られるこの物語は、
生きることに真摯で、
深く人を愛して、
そして狂おしく空虚。
ヘンリーの生き方が虚しいという意味ではなくて、
ヘンリーの心の中にどこか空虚な部分があるって意味です。
最後の一行まで読み終わって、
ほわぁぁんと湧き上がる切なさがたまらないですね。

この作品は三部作の第一部なのだそうです。
主人公ヘンリー・スマートの生誕から20才まで、
ストリートチルドレンとして、
そして革命の徒として生きていく彼の姿が描かれています。

作者ロディ・ドイルは、もちろんアイルランドの作家です。
いままで邦訳されている作品(キネマ旬報社から出てたやつ)は、
惨めな市井の人々の暮しをからりと明るく描きながら、
ちょっとウェットでほのぼの切ない、
という感じの作品が多かったんですが、
この作品では作風ががらりと変ってます。
血と汗と汚水にあんなにまみれながらも
ウェットなところが全然なくて、
というか、
登場人物たちにも読者にも涙を許さないんじゃないか
と思うぐらい乾いてたって気がします。

そうそう、激しく蛇足なんですが、
本書でヘンリーがおばあちゃんの本の山から抜き出してみた
「ラックレント城」を
彼女が「ばかげたナンセンスの本」と評したところで、
思わず現実に返って微笑んでしまいました。
おばあちゃんとは意味がちがうけど、
私もこの本の邦訳版を読んで似たような感想を持ったので。
(2005年4月5日)
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 2015_03_24


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