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ミュリエル・スパーク「不思議な電話」



今月の金曜企画は「老人」
この間が「痛・病」で次が「老人」
なんでしょうかこの方向性。

まず一番目は、
2005年当時、わたしが「絶版の女王」と呼んでいた
ミュリエル・スパークの作品。
2013、2015とどどんと出版が続いてるので、
もうその名前は使えませんが。
でもやっぱり、
本書は絶版ですし、
ずっと旧ブログでみなさんからお勧めされていた
「ミス・ブロウディの青春」も読めないままです。




ミュリエル・スパーク「不思議な電話」
東京新聞出版局

御年79歳になるデーム・レッティ・コルストンは、
最近ある電話に悩まされていた。
レッティへ名指しでかかるその電話は、
ただひとこと「死のさだめを忘れるな」
とだけ言って切られてしまうのだ。
レッティの兄ゴッドフリー・コルストン、
ゴッドフリーの妻でかつて高名な作家だったチャーミアンの元にも
怪電話が掛かってくるようになるが、
警察もその犯人を特定することが出来ないでいた。
ゴッドフリーの気苦労は、
妹や自分を悩ます怪電話ばかりではない。
妻の耄碌のひどさにも頭を悩ませていた。
ゴッドフリーは87歳、チャーミアンは85歳なのだ。
二人のダメ息子エリックとは何年も前から顔を合わせていない。

そんな折、彼らは知人の訃報を聞く。
奔放な生き方で勇名を馳せていたライザ・ブロックが
73歳で死去したのだった。
ゴッドフリーはもちろんライザと不道徳な関係になったことはない。
すくなくとも英国国内では。
ともあれ、
ゴッドフリーは妹のレッティと共に、
ライザの弔問に行くことになった。
その葬式パーティに集まった面々のほとんどが
老人たちだったことはいうまでもない。
金満家だったライザに寄生する取り巻き。
パーシー・マナリングは80に近い老人だが、
そういった取り巻きの一人で似非詩人だった。
二つの杖にすがってよろよろ歩くガイ・リードは批評家で、
(のちにみんなが初めて知ることになるが)ライザの夫だった。

そのパーティの場でレッティはゴッドフリーに
ライザの家政婦をしていたメーベル・ペティグルーを
チャーミアンのために雇い入れるように吹き込む。
通いの家政婦一人ではもたないというのだ。

うーん。
めちゃめちゃ面白かったです。
主要登場人物はこの他に
チャーミアンの元家政婦ジーン・テーラー(82)や、
社会学者で、かつてレッティと婚約したことがあり、
テーラーと恋仲だったこともあるアレック・ウォーナー(79)など。
まあ言ってみれば
ほとんどの登場人物が老齢なんです。
新たにコルストン家の家政婦となるペティグルーも
すでに73歳だし、
通いの家政婦さんも70歳。
うひひ。
テーラーは現在公立の老人ホームに入ってますが、
頭のほうはかなりしっかりしてて、
物語の主要人物でもあり、
外部からこの騒動を見つめる目でもあります。

私はとにかく
耄碌おばあちゃんのチャーミアンが大好きになっちゃいました。
名前からしてもう、
愛さずにはいられない可愛らしさじゃないですか。
耄碌してるといっても、
他人と全く意思の疎通が出来ないのではなくて、
相手を別の誰かと間違えて思い込んだり、
過去のことと現在のことがまじっちゃったり、
他人の話をあんまり聞いてなかったりという程度で、
その症状も、時にはひどくクリアになったりするんですよね。

あたらしくチャーミアンの世話をするために雇われた
ペティグルーが裏のある人で、
前のご主人ライザの遺産を手にすることはできなかったけど、
今度はゴッドフリーの遺産を手に入れようと画策するの。
お色気で!
いや、
老人の恋愛についてはどうこう言いませんが、
老人の欲得づくのそういうのって、
どうよって感じですが……
これがまた
枯れないじじいのゴッドフリーは落ちちゃう訳ですよ。
そんなペティグルーを、
チャーミアンは羨ましく思うのね。
勇気があるなぁって。
ああ、なんて可愛い人なんだろう。
チャーミアンって。

さて、
コルストン家の騒動の内の一つ、怪電話の方は、
何故か周囲の老人たちの身にも次々と降りかかってきます。
見舞いがてらに相談にくるレッティやアレックの情報により、
色々なことを耳にするテーラーですが、
テーラーの方の老人ホームライフも
なんだかのんびり耄碌ムードというわけにはいかないようで……。

面白くて、
老いと死について思わせてくれる。
老いに纏わる不調やらぐだぐだやらが作中に溢れかえっているのに、
やるせなさを感じさせないのは
本作の大きな魅力の一つだと思います。
シャープな作品、
とも言えましょうか。
読後にじわんと広がるのは
いままでにあまり馴染みのない不思議な感触。
ミュリエル・スパーク…ああ、やられました。
スパークの筆に手玉に取られたのは登場人物か、
それとも私なのか。
(2005年4月24日)
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