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テリー・ビッスン「ふたりジャネット」



テリー・ビッスン「ふたりジャネット」





テリー・ビッスン「ふたりジャネット」
河出書房新社 中村融編訳

オレンジを基調とした装丁がとても…
なんというか…華やかで若々しくて…
河出書房新社の奇想コレクションのシリーズでなければ
手にしなかったかもしれません。
が、
中身はやっぱり期待通り、
いえ期待以上に楽しかったです。
寡聞にして知らなかったのですが、
テリー・ビッスンって方は
アメリカSF界きっての短編の名手なのだそうですね。
編訳者あとがきによると、
彼のキーワードは「南部」と「物語」なのだとか。
はい、なるほどねぇ。

「熊が火を発見する」は、
ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作なのだそうです。
タイヤがパンクしたのは、
弟と甥っ子を乗せて州間高速六十五号線を走っているときだった。
スペアタイヤに付け替える時、
甥の持っていた懐中電灯が消えて、
まえより明るくなって灯った。
振り向くと木立のへりに松明を掲げた二頭の熊がたっていた。
そそくさとタイヤを交換して三人は黙って車に乗り込んだ。
弟が口をひらく。
「どうやら熊が火を発見したみたいだな。」

とてもキュートな作品。
ラストに漂う哀愁がまたイイ味を出してます。

「アンを押してください」は
おしゃべりなATMのお話。
こちらもとてもキュート。
短い作品(センテンスも、作品そのものも)に、
きっちりと落ちがつくのがまた気持いいんですよね。

「末来からきたふたり組」
「われわれは未来から来ました」
「へえ、そいつはよかった。とっととこっから出てって!」
アート・ギャラリーで
警備員のアルバイトをしている「あたし」の目の前に
不思議なふたり組が現われた。
失われる運命にある芸術品を末来へ送るのだと、
彼らはスペイン語で説明した。

「英国航行中」
ある日、
突然ブリテン島が大西洋へと移動しはじめた。
時速3~4ノット、
ペンザンスからドーヴァーにいたる南岸を舳先として、
ゆっくりと。
フォックス氏は愛犬アンソニーを従えて散歩するのだった。

こんな不可思議な出来事が起こってるのに、
人々も国も大混乱をきたさない。
なんとも人を食ったような物語。
読後にほわ~んと漂う余韻は、
フォックス氏のなんともいえない穏やかで哀愁のある佇まいのためでしょうか。

「ふたりジャネット」は、
実はちょっと私には乗り切れなかった作品です。
十六丁目の角の公衆電話が鳴り止まないので
「わたし」ジャネットは受話器を取り上げた。
「もしもし、お母さん?」
「ジャネット、あんたなの?」
故郷の田舎町オーエンズボロに住む母からの電話は、
いつも不可思議なやり方だ。
そして今日の電話の内容は、
オーエンズボロにジョン・アップダイクが引っ越してきたというニュース。
そしてほどなく
元婚約者からはソール・ベローが、
そして親友のもうひとりのジャネットからはフィリップ・ロスが
オーエンズボロに引っ越してきたというニュースを聞く。

うーん、
知ってる作家の名前がどんどん出てくるので
にやりとはしてしまうけど、
なんだかよく分らないというのが本音です。
はい。

「冥界飛行士」
事故により盲目になった画家レイのもとに一本の電話がはいる。
電話の主はデューク大学のデカンダイル博士だった。
彼はレイに臨死体験をし、
その体験で「見た」ことを描いてほしいと依頼して来たのだった。

これまで読んできた作品とはちょっと雰囲気の異なる、
シリアスな作品です。
臨死体験の実験というところ、
いくつかの階層があるというところで、
ベルナール・ヴェルベールの「タナトノート」を思い出させました。
それよりも、もうすこし切なくて悲しくて美しい物語でした。

以下の三篇は、
「万能中国人ウィルスン・ウー」シリーズと申しましょうか。
弁護士アーヴィンと
彼の類稀なる友人ウィルスン・ウーの
ドタバタSF連作です。
もう、
もう、
すごく面白かった!
<だれもがウィルスン・ウーのような友人を持つべきだ>
「穴の中の穴」
目下手がけているのは自分自身の離婚訴訟のみ
という弁護士のアーヴィンは
古いヴォルヴォのブレーキ部品を探していて、
<穴>と呼ばれるヴォルヴォ専門の廃車置場にたどり着いた。
同じく古いヴォルヴォを愛好する友人ウーに
さっそくこの情報を伝えてやったが、
<穴>でウーを魅了したのはヴォルヴォではなかった。

とにかくウーがデューン・バギーを穴から引っ張り出せるのかに、
手に汗を握るような興奮を覚えました。

「宇宙のはずれ」
晴れて離婚に至り、アラバマに引っ越したアーヴィン。
結婚したいと思っているキャンディとの仲はあつあつだけど、
問題があった。
それは彼女の父親だった。
トレーラーハウスの家主で、
安普請にあこぎな取立て、
かつて町中のほぼ全員がののしられるか銃をぶっぱなされるか、
またはその両方のしうちを受けたことがあるという酷い男だったが、
今は老人ホームで子犬のようにおとなしい。
アルツハイマーなのだ。
ある日、
気象学士になってハワイにいるウーから
例の摩訶不思議な数式がファックスで送られてきた。
ビッグクランチによる反エントロピー場の局部発生。
ふむ。
駐車場に捨てられていたビーズの座席クッションの、
ちらばったビーズの数がアーヴィンには気になってきた。
 
「時間どおりに教会へ」
無事結婚の運びとなったアーヴィンとキャンディ。
二人は、
ミニーおばさんを迎えにいきがてらの新婚旅行として
ニューヨークへ向った。
ニューヨークは彼の故郷なのだ。
子供の頃はブルックリンで木の家を作ってあそんだっけ。
しかし、新郎付き添い役を頼んでいるウーが、
式を一週間待って欲しいと、
とんでもない方法で言ってくる。
ウーは今、
気象学的昆虫学者としてジャングルで台風制御をしているらしい。
しかし挙式を延期することなんて出来やしない。
発注した氷彫刻も真ってはくれないだろう。

どんどん超人的になってくるウーが愉快すぎる。
ウーの磁力に抗えないのか、
他の登場人物もどんどん人間離れしていくような…。
(2005年5月9日)
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