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フランク・マコート「アンジェラの灰」



フランク・マコート「アンジェラの灰」
新潮社

両親はニューヨークで出会い結婚し、フランクを生んだ。
そしてアイルランドへ帰った。
それはフランクが四才の時で、
弟のマラキは三才、双子の弟オリバーとユージーンは一才。
妹のマーガレットはその時にはもう死んでいなくなっていた。
どの国にも幼い頃の惨めさ、貧困は語られるが、
アイルランド人の惨めさは桁が違う。

本書は、
アイルランド系アメリカ人である作者の、
4歳から19歳までをすごしたアイルランド、リムリック市を舞台にした自伝。
映画化もされてします。
てっきり私はこれが「自伝的小説」という奴だと思いこんでたんですが、
本書が図書館の小説の棚ではなくて自伝の棚に並んでいるのを発見して、
初めて本当の「自伝」なんだと知りました。

自分の子供が死ぬたびに、
取り乱してもうこの家には居たくないと引越しする母親、
その母親の故郷がリムリックです。
ここには母の実母も、実兄も、姉夫婦も暮らしています。
が、
厳しい自分たちの毎日の生活で手一杯の彼らは
思いのほか娘の家族マコート家の人間に冷たいことに驚かされます。
その彼らの冷たさの理由の一つは、
フランクの父が、
同じアイルランド人とはいえ、
リムリックの人間ではなく「北」から来た人間だ、
ということがあります。
このあたりは、アイルランドの歴史にまったく明るくないので、
どれほどの歴史的な背景が隠されてるのかはわかりませんが。
単によそ者と結婚、
というだけではないような気がしましたがどうなんでしょう。

そのフランクの父親は気取った理想家で、
なんだかんだと理由を付けては
見た目ばかりに拘り仕事もろくにしないわ、
貧しい家族のために道に落ちた石炭を拾うのも、
人の情けを受けるのもいやがるような人。
しかもわずかばかりの失業手当も
入るとすぐにパブで飲んでしまうどうしようもない飲んだくれ。
でも口を開けば愛国主義と良きカトリック教徒としての話ばかり。

というわけでマコート家は、
リムリックの中でも最貧民と言える生活水準にあります。
子供は幼い方からぽろぽろと死に、
いつも誰もが腹ペコで寒い思いをしてて、
着るものにも履くものにも事欠き……
そう、
先に書いたように、「桁が違う」悲惨さなんです。

ところが、このフランク・マコート、
フランキーの毎日の鮮やかさには本当に驚かされます。
これだけ悲惨さをたたみかけていながら、
あくまでもユーモアを失わない生き生きとした少年時代。
そして、じわじわと胸に染みるペーソス。
フランキーという少年がまた逞しくも純粋な少年なので素敵なんですよね。
いやらしい大人の目で見た皮肉なんか全然感じられないの。

読んでる間ずっと
フランキーという少年を身近に感じ、
彼の喜びや痛みを分かち合ってきたような、
そんな感じでした。

その分厚さ、
そしてアイルランドの貧しい少年時代を綴った自伝
というところで、
ずっと手に取るのをびびってたんですが、
読み終わって大きな溜息とともに、
ああ~読んでよかった……
としみじみと感じました。
(2005年6月7日)




この感想を旧ブログにアップしたら、
「北」とリムリックの対立は宗教、
プロテスタントとカソリックから来ているらしいと
教えていただきました。
同じ方から、
本書の続編「アンジェラの祈り」も勧められたんですが、
結局、読んでなかったり……。
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 2015_01_07


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