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妻千代について  明治四十三年から四十四年



六 妻千代について
 明治四十三年から四十四年

この章では、特に大須賀乙字と、その妻千代について書きます。
乙字は生涯に、二度の結婚をしましたが、
中でも最初の妻千代との結婚生活は、
俳人大須賀乙字を語る上で、
とても重要な時代。
まず、最初に言っておくと、
千代との結婚生活は、あまり長くありません。
明治四十三年に結婚して、大正四年まで。
実は、この期間は、
師である河東碧梧桐と俳句上での意見が違い始め、
そして、完全に別れてしまうまでと重なるんですよね。
というわけで、
千代との結婚生活をなぞってみます。

「母の死」の章で記した通り、
明治四十二年十二月初めに乙字の母が亡くなります。
収入を上げて結婚して、
東京に母を呼びたいと考えていたのだけど、
それは叶わなくなった。
とは言え、やっぱり結婚するわけです。
以前にも書いた通り、
福島県平町の従兄小山祐五郎と
同町の書林清光堂主関内米三郎を仲人として、
明治四十三年十月に、
茨城県那珂湊の宮内亀次郎の長女千代と結婚します。
乙字が三十歳、
千代が二十二歳。
千代の実家宮内家は、
漁業問屋や酒造などを手広く手がけるなかなかの富豪だったとか。

結婚してすぐに子宝に恵まれますが、
明治四十四年の三月、妊娠中の千代は乾性胸膜炎を患います。
この時、
医師から、肺が普通の人より弱いようだと見立てをうけたとか。
その関係があってなのか、
元々その予定だったのか、
出産予定は九月でしたが、
七月にはもう、千代は実家へ戻ってます。

乙字は、とにかく、初めての子供を楽しみにしていたらしく、
「乙字書簡集」にあるものだけでも、
九月八日、十一日、十三日、十五日、十九日と、
湊の千代に長い手紙を書いてます。
知り合いの奥さんは、こんな感じの産み月の様子だったらしいとか、
食事に気をつけてとか
男でも女でもいい、おまえの体が心配だ、とか
出産予定日が少々遅れても心配するな、
一か月おくれる人もあるらしいとか
電報を待ちながら一日過してしまったよとか
友人の赤ん坊を抱いてみた、おれの方が友人より上手く抱けたとか
学校から帰って、電報がないとわかるとがっかりするとか
内親王殿下も、先月生まれる予定だったのが今月十二日にお生まれになったのだから
おまえも心配するなとか
そういった千代と生まれて来る子の心配を書きながら、
また、実に細々と、自分の生活についても書き送ってて、
これがまた非常に微笑ましい感じ。

結局、九月十六日に長男精一が誕生したんですが、
九月十九日の手紙には
今朝は早くから眼がさめた。我身に勇気がみちみちてゐるやうな気がする。
お前の身体は大切だ、薬だと思つて養生物をたべて呉れ

というようなことを、書き送ってます。
(ちなみに、漢字は新字に直してあります)
こんだけ、子供の誕生を楽しみにしていた乙字ですが、
学校の都合などがあり、
実際に茨城県湊に父子の対面をしに行けたのは、九月の末。
しかし、
千代は産褥熱でしばらく寝込んでしまったとか。
この熱が下らなくて、医師も首をかしげるほどだったということです。
幸い、千代はその後回復し、東京で親子三人の暮らしが始まるわけです。
千代が出産で里帰りをしていた間、
それまで住んでいた家から麹町の下宿に転居してたんですが、
親子三人の暮しは下渋谷で始まります。
所帯道具も揃っていず、机が食卓を兼ねている状態で、客が来るとそれに白い布をかけて酒を出した
と、河内静魚の「わが心の俳人伝」に
ほのぼのとした新生活の様子がうかがわれる記述があります。

ちなみに、明治四十三年は、碧梧桐が「無中心論」を発表した年で、
四十四年は新年に、碧梧桐のもとに「東京の門人に背信の気配あり」と、
宇佐美不喚楼が駆け込んで始まり、
乙字の書く文章が、
どんどん新傾向俳句批判、「無中心論」批判に傾いていった年でもあります。
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 2015_01_04


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