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ファティマ・メルニージー「ハーレムの少女ファティマ」



ファティマ・メルニージー「ハーレムの少女ファティマ」





ファティマ・メルニージー「ハーレムの少女ファティマ」
未来社

このタイトル、そして同じ名前の作者。
実はあんまり期待してなかったんです。
特異な環境で育った少女の
よくある告白本か何かだと思い込んでいたので。

でも、
それはキレイに裏切られましたね。
かなり面白かったです。

大体、
私の貧相なイメージでは「ハーレム」って、
権力者と、彼が集めた女奴隷という感じだったんですから、
裏切られて当然ですねが。

幼い主人公ファティマ
(予言者ムハンマドの娘と同じ名前ですが、
特にそういう記述は本文にはありません。)は、
タイトルの通り、
モロッコのファズの、あるハーレムの中で生まれ育ちます。
ここで言うハーレムとはどうも、
一族郎党が共に暮らす共同生活のようなものみたいです。

1940年代、
フランスを始めとした欧米の文化が入ってきて、
モロッコも色々と伝統的な事柄が廃れ始め、
ファティマの暮らすハーレムも、
次々と家族が別れて住み始めて、昔のような大所帯ではないみたい。
それでも、ハーレム内では厳しい掟があり、
特に女性はその中で自由を夢見ながら日々を暮らしています。
あ、
一夫多妻制という文化があって、
様々な女性が一緒に暮らしてるんです。
男性が、外の世界とハーレム中をつなぐ役割を担っていて、
女性は敷地内からは、めったなことでは外に出ることが出来ません。
門番が居て、
家長が許可した場合以外は外に出ることが出来ないのです。
日々の買い物も出来ないので、
こういうものが欲しいと男性に伝えて、
それを買って来てもらうという、正しく籠の中の鳥状態。

ファティマも学校へ通う以外はハーレムの中で過しています。
遊び仲間は、同い年のサミールという少年。
ファティマとサミールはまだ男とも女ともつかない「子供」なのです。
だから、一緒に遊ぶことが出来るみたい。

この本の元々のタイトルは
「境界線を越える夢」なんだそうです。
そう、
この本は、幼い少女ファティマが、
ファティマと外の世界の境界線、男と女の境界線って何だ?と
幼いながらも模索する日々を綴った作品なんです。

と言っても、
実はかなり楽しい日々が綴ってあるんですよね。
大人の男たちの知らない女達の楽しみ。
ハーレムの中で演じられるお芝居や、
女達がこっそりテラスで楽しむ煙草の儀式、
フェズの街を堂々と闊歩するフェミニズムへの憧れと嘆きやぼやき、
漏れ聞いた大人の男達の会話から、サミールと一緒に推測する政治の世界、
皆で連れだって映画館へいくという大イベントなど。

当然ではありますが、
どれもこれもオリエンタルなんですよ。
しかも、
すごく身近に感じられる文章で綴ってあるので非常に楽しく読めました。

作中には、第二次世界大戦の話も登場します。
モロッコが戦禍に巻き込まれたということではないようですが、
それでも幼い子供までがこの話題に夢中になってます。
で、
彼女たちが何とも理解できないのが、ここでも境界線。
宗教の違いや文化の違いが戦争になるのはなんとなくわかるけど、
同じ北の方にすむ
同じキリスト教徒同士(ここではフランスとドイツ)が戦っているのは何故?

のちにアメリカ人がモロッコにやってきて、
アメリカ人には黒人と白人がいることへの驚きも、
はあ~なるほどなぁって感じでした。
モロッコでは混血あたりまえで、当然肌の色は2色ではないわけです。
ところがアメリカ人は
白人と黒人、
肌の色がきっちり分かれてることに先ず疑問を持ちます。
そして、アメリカでは異人種間での結婚があまりないと聞くと、
「宗教での境界線、男女の境界線は知ってるけど、
肌の色の違いで境界線をひくなんて!」
という驚きになるのです。

色々考えることもあるけど、
とにかく皆与えられた環境の中で
なんとか楽しみを見出しながら生きてるという、面白い作品でした。

ちなみに作者の現在は、
国際的に著名な社会学者なのだそうです。
女性が籠の中の小鳥であってはならない
と言いつづけた現代的なお母さんがいたからの
現在の彼女なのかもしれません。
(2002年12月24日)
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 2014_12_03


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