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イーサン・ケイニン「宮殿泥棒」



イーサン・ケイニン「宮殿泥棒」





イーサン・ケイニン「宮殿泥棒」
文藝春秋

タイトル自体はそうでもないんですが、
かなり地味な四つの短編が納められていて、
しかもその作品の主人公たちが、
これまでコツコツと地道に歩んできた中年の会計士とか、
妻に捨てられた、もうどこをとっても平凡でさえない父親とか、
名門男子校でずっと歴史を教えてきた真面目な老教師とかっていう、
たとえば
何かの長編映画の
ちょっとした脇役程度の扱いをされるような平凡な人達なんですね。
派手なこともしないし、
かといって、
大声で他人に身の不幸を嘆くほど不幸でもない。
そんな人達。
しかも身近にドラマの主役を張れるような個性的な人がいて。

二つ目の作品「バートルシャーグとセレレム」は、
ぐっと年齢が下がって主人公は少年なんですが、
やっぱりドラマの中では脇役を演じるしかない少年なんです。
奇矯な態度を繰り返す天才の兄の影になってるフツーの男の子。

どの作品も、
読後にじんわりと沁みる味わいがありますが、
私は中でも、巻頭の「会計士」と
表題作「宮殿泥棒」が好きです。

「会計士」は、
子供の頃からコツコツと真面目に勉強して、
人生設計をきちんと立ててそれに向かって一歩ずつ進んで行った
中年の会計士の物語。
彼の幼馴染は、
どっちかといえば不真面目でちゃらんぽらんで、
全然将来についてのビジョンがないように
主人公には思えていました。
しかし、
大人になった幼馴染は、
その社交性と人を惹きつける魅力も手伝って、
今や飛ぶ鳥を落す勢いのやり手のビジネスマンに。
彼が成功を収める前に、
一度主人公の所に投資を頼んできたのですが、
それに応じることをしなかったというのが、
主人公の心の片隅にいつもひっかかっているのです。
もし……。

愛しているけど、
どうにも分かり合えてない気がする、
という父親と娘の関係も、
主人公が見せる、
ある意味トホホ、
だけどそれが何だっっていう矜持の高さも、
なんだか読後にじわじわ嬉しくなってくる作品でした。

「宮殿泥棒」は、
苦い形で長年勤めた名門男子校を退職した老教師の、
過去に彼が教えていた、
他の生徒にカリスマ的な人気のある不真面目な生徒との
再会がもたらす物語。
この生徒、
少年時代もうすっぺらいずるさの見える奴なんですが、
大人になって、
押し出しも立派な人物になっても、やっぱり……。
でも主人公の老教師の老後が
苦い悔恨や疑念で満たされることのないラストがよかったです。
(2003年3月23日)
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