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ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ「トランス=アトランティック」



ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ「トランス=アトランティック」
国書刊行会 西成彦訳

1939年8月21日、
ポーランド人作家
ゴンブローヴィッチを乗せたフロブリ号は、
ブエノスアイレスに入港した。
ゴンブローヴィッチは作家として
この船の処女航海に招かれたのだった。
しかし、
大戦勃発のニュースにより、
母国ポーランドに戻れるという保証はないが、
英国かスコットランドまでは戻れるとして
フロリダ号をすぐに出航させるという流れになった。
が、
ここで彼はアルゼンチンに止まる決意をしたのだった。

所持金わずか96ドル。
いきなり窮乏しているこのポーランド作家は、
とりあえず糊口を凌ぐために、
知人に仕事を紹介してもらうことになる。
バロン・チョッカイ・ムシャムシャ、
かれら三人組の経営する馬や犬の競売会社に入り込むことに成功した作家は、
次にポーランド公使館に出頭する。

むむむ。
適当に序盤のあらすじを書いてみましたが、
なんだか違う小説のあらすじを書いてるみたい。

本書は
もっとはちゃめちゃな物語なのです。
まず、
読み始めて(色んな意味で)ぐっとなるのが、
その特異な文体。
自らを「小生」と名乗る時代がかった大仰な物言いと、
感嘆符や
用言止めや
「!」マーク
によって表わされる
激しい登場人物たちの感情の昂ぶりに、
まず面食らってしまいます。
そして、忘れられないのが擬音語。
すたすた、すたすた、すたすた。

ポーランドの威信をかけた公使館の人間の神輿
に乗せられた主人公は、
とあるパーティに出席することになります。
結果は無残なものでしたが、
そのパーティをきっかけに一人の男と知り合います。

うーん、
男といっていいのでしょうか?
億万長者であり、
真赤な口紅をさして
美少年の尻を追いかけることに血道をあげたこのゴンサーロを。

そして、
ゴンサーロは
あるポーランド人の美少年に夢中になります。
ゴンサーロに
この美少年と渡りをつけてほしいと懇願される主人公。
しかし美少年には厳格な元軍人の父親がいて、
なんだかんだでこの父親は
ゴンサーロに決闘を申し込むと息巻くことになるのです。

常に困惑の真只中に居て、
不意に激昂したり無力感に打ちのめされたりしている主人公、
すでにこの時点で尋常じゃないっていうのに、
彼の周辺はいつでも更に狂乱してるんです。
惨たらしい喜劇というか、
なんだかもう笑うしかないんだけど、
同時に泣きたくなるような…
そんな作品でした。

居もしない息子に会いたくなった作家が、
件の美少年の寝姿を見に行くくだりが妙に印象に残ります。

本書の三分の一ぐらいが本作の補遺に割かれてて、
そこで作者によって、
さまざまな牽制がなされてます。
それを酌んで、
という訳ではないけれど、
本作と作者の背景を結びつけることはしないで読んだし、
感想もそんな感じで書いてます。
まあ実際は、
語るほどにポーランドについて知らない
ということが大きな理由ではありますが。

ただ、
お笑いめかしてはいるけれど、
とにかく
「痛い」
作品ではありました。
なんだか長く印象に残る一冊です。
ふぅ。
なんだか気になって他の作品も読んでみたくなるじゃないですか。

そうそう、
補遺の中の作者の日記に、
カサーレス邸に招かれて、
ボルヘスと会食するというエピソードがありました。
なんだか小説の中にあったパーティで
アルゼンチン作家との対面を彷彿とさせて、
妙にそこで笑っちゃいました。
(2005年5月13日)




これを旧ブログにアップした時、
ある人に

ゴンブローヴィッチって好きになるか嫌いになるか、ハッキリ分かれる作家だと言わ

れていますが、うちに来てる方で読んだ方のほとんどが「まあまあ好きかな」ってご

感想で、それがなんか笑ってしまいました。

とコメントを頂いたんですが、
わたしの旧ブログでも、
どちらかといえば「まあまあ好きかな」派ばかりでした。
というか、
私は作品は別として、
なんとなくゴンブローヴィッチ氏自体は嫌いで、
ボルヘスとカサーレスに困惑されるほど浮きまくった氏を想像して
悪い笑いを浮かべたものでした。

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 2014_11_23


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