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トレッツァ・アッツォパルディ「息をひそめて」








トレッツァ・アッツォパルディ「息をひそめて」
早川書房

うーん、
すご~く良かったです。
切なさと哀しみが漂うのに、
そこに絶望感のような強い感情は無くって、
すべてがとても淡い感じなんです。

この作品は、
2000年のブッカー賞の最終候補にも残ったという作品なんですが、
それも納得という感じ。
ちなみに
同年のブッカー賞はアトウッドの「昏き目の暗殺者」。
こりゃ太刀打ちできなかったか……と思ったんですが、
6作品の最終候補に残り、
得票がアトウッド31パーセント、
カズオ・イシグロ23パーセント、
本書が10パーセントという結果だったらしいです。
これで処女作というのだから凄いですね。

さて、
舞台は1960年代のウェールズの港町にあるイタリア系移民地区。
ドロレスはガウチ一家の末っ子で5歳。
父フランキーは賭博にうつつを抜かし家庭を顧みない男。
母メアリが稼いだわずかな生活費も盗んではすってしまうので、
一家は食べることにも事欠くほどの貧しさにあえいでいます。

ドロレスの兄弟は、
長女のチェレスタ、三女のローズ、四女のフラン、五女のルカ。
次女のマリーナは
金に目がくらんだ父フランキーによって養子に出されているのです。

6番目のバンビーナ(女の子)、
望まれなかった赤ん坊だったドロレスはその存在を隠すように、
生後間もなくの頃、衣装箱の中で寝かされていました。
そして家族の不注意による火事で、
衣装箱の中で忘れ去られていたドロレスは左手を焼失してしまいます。
「ドル」
「バンビーナ」
「片手なし」
それが彼女の呼び名。

貧困と父の暴力と
不安定な母の精神状態に翻弄されて
すさんで行く姉達にさえ余り顧みられず、
四女のフランだけが唯一打ち解けることが出来る相手でした。
しかし炎に異常な執着を持つフランは、
放火しているところを目撃されて施設へ送られてしまうのでした。

5歳の少女の無垢な目を通して描かれる
家族崩壊。
水面下スレスレに「終り」が感じられる切ない物語ではありますが、
静かで透明感があるので、
同情を誘うような雰囲気や
エキセントリックさが
感じられないのが良かったですね。
これはかなりお薦めかも。
(2003年1月26日)




本文中で触れている、2000年のブッカー賞ですが、
この年のカズオ・イシグロの作品は
「わたしたちが孤児だったころ」。

ちなみに
トレッツァ・アッツォパルディから話は外れますが、

1981年にサルマン・ラシュディが「真夜中の子供たち」で受賞した時、
最終候補の中にイアン・マキューアンの名前があって、
その、ラシュディがグレアム・スウィフトらと最終候補に残った。
1983年の受賞者はJ・M・クッツェー。
1986年はアトウッドとカズオ・イシグロがどちらも最終候補まで行って
どちらも受賞に至らず。
1988年は、ピーター・ケアリーが「オスカーとルシンダ」で受賞して、
ラシュディが最終候補
1989年に、カズオ・イシグロが「日の名残り」で受賞した時、
アトウッドも最終候補まで残り、
1992年にマイケル・オンダーチェが「イギリス人の患者」で受賞した時は、
マキューアンが最終候補。
1995年にパット・バーカーが受賞した時には、ラシュディ。
1996年はグレアム・スウィフトが受賞して、アトウッドが最終候補。

1998年にマキューアン
1999年にクッツェー
2000年にアトウッドと受賞して、
2001年に再びピーター・ケアリーが受賞したとき、マキューアンが最終候補。

なんか、みんなで受賞を回しあってる感じで面白いですね。
Wikiによると
過去のブッカー賞受賞者の全著作、過去10年間のブッカー賞候補者の全著作は自動的に対象とされる。
ふーん、それでかー
という感じ。

逆に言えば、
そこまでしっかり発表してるって
すごい気がする……
なんとなく。
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 2014_10_26


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