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オースン・スコット・カード「奇跡の少年」
角川文庫

舞台は18世紀末のアメリカ。開拓時代ですね。
森には精霊が宿り、先住民族が潜んでいる。そんな時代。
まず物語はリトル・ペギーという透視能力を持つ少女サイドから始まります。
リトル・ペギーは、
ニュー・イングランドからやってきたある家族の
7番目の息子が生まれる場面に立ち会うことになるのでした。
7番目の息子、
それは特別な能力を持った子供だと言われている存在なのですが、
特にその時に生まれた赤ん坊アルヴィンは
奇跡の少年でした。
もう何世紀もの間生まれてこなかった、創造主の生まれ変わり、
それがアルヴィンなのです。
しかし、幼い彼の命を狙う黒い影……。

開拓時代の匂いがたっぷり味わえる作品でした。
ファンタジーって言えばファンタジーなんですが、
素朴な家庭の中の僅かだけど些細ではない確執や不和の予感とか、
プロテスタント神父の敬虔ではあるけど独善的な姿勢と、
土地の人間の魔術やまじない信仰、
とかのプラスαの魅力があって、めっちゃ良いですよ。
(2001年12月26日)

オースン・スコット・カード「赤い予言者」
角川文庫

「奇跡の少年」の続編です。
かなり雰囲気が異なって、
めっちゃシビアな白人とインディアンとの戦いが描かれてます。
実際の人物を混ぜつつ、別のアメリカ史を展開してます。
登場するほとんどの人物が歴史上の人物みたい。
インディアン側の人物も。

「奇跡の少年」では当の少年をメインにストーリーが展開しますが、
「赤い預言者」では
その少年が物語の重要な役どころを勤めるけど、
物語の軸は白人対インディアン。
読み応えがありました。
(2002年1月4日)

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 2016_01_31



オースン・スコット・カード「消えた少年たち」
早川書房

父親の仕事の関係で新しい土地へ引越してきたフレッチャー家。
敬虔なモルモン教徒であるステップとディアンヌ夫婦と
三人の子供たちですが、
小学2年の長男のスティーヴィは
この引越しで大きなショックを受けます。
元々おとなしい少年だったのが、
新しい学校での教師の心ない行動などから、
孤独癖が強くなっていくのでした。
そして、
いつしか誰にも見えない友達とばかり遊ぶようになります。
彼を心配する両親。
彼等もまた、
「子供」に対しての「親」というだけでない一人の人間ですから、
夫婦のいざこざ、職場のトラブル、モルモン教徒としてのあれこれ、
そして身重のディアンヌの体調など、
様々な問題が起こります。
幼い下の二人の子供たちを除いて、
誰もが新しい環境で格闘してるわけです。
小市民の、ささやかだけど、ないがしろにできないあれこれと。
そんな彼等の周辺に、
ないがしろには出来ない不可思議な問題が起こり始めます。

この作品の大半が、
この不器用で真っ直ぐな家族の日常で埋め尽されてます。
精神的に痛い人たちも、善良な人も、悪人も登場してて、
誰もがこれでもかって程リアル。
その彼等に振りまわされる不条理感がまたリアルで。

そして、
切な過ぎるハッピーエンドとも、
優しいアンハッピーエンドとも言えるラスト。
泣けました。

作者のオースン・スコット・カードは「エンダー」シリーズなどのSF作家。
でもこの作品は家族小説でもあり、
ホラーでもあり、ミステリーでもあるけど、
SFではありません。
でもカードなんだよな~って思わせてくれる。
作中、ディアンヌが、
アン・タイラーの「ここがホームシック・レストラン」を読んでるとこ、
ナルホドな~って感じでそこも面白かったです。
(2002年1月23日)

 2016_01_30




エドモンド・ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」
河出書房新社

「キャプテン・フューチャー」などスペース・オペラの作家、
というイメージが私の中に強かった作家、
エドモンド・ハミルトンの短編集。
うーん、全体的にどれも悪くないんだろうけど、
いくつかの作品については、どうも短編としての切れが悪いというか、
落ちに到るまでの盛り上がりが足りないような気がして
不完全燃焼な感じを受けてしまいました。

「フェッセンデンの宇宙」
 「実験室で宇宙を作り出した!」
あの日、フェッセンデンの忌まわしい実験を目にしなければ……。
SF的でありながら、味わいはホラー。
ホラーって思うと
ハミルトン以前にもあるような良くある展開の手法ではありますが、
主人公ブラッドリーの精神的な不安定さに対比するような
フェッセンデンのどこか子供っぽいとも言える顕示欲と支配欲という
人間心理の見せる怖さ、みたいなものがあったような気がします。
ただ、
なんか結末までにもっときっちり盛り上げてくれないと乗れないわ、
とか思っちゃいました。

「風の子供」
黄金の噂に惹かれて、ブレントは「風の高原」へと赴いた。
地元の人間はそこを恐れて近づこうとしない。
奇特なガイドを一人連れて「風の高原」へたどり着いたブレントだったが、
突然の大風にガイド役はあっというまに捕まって殺されてしまった。
そして一人残されたブレントの目の前に、
まるでその風をあやつるかの様な一人の少女が現れ……。
どこか悲しい余韻を残すファンタジックな作品でした。

「向こうはどんなところだい?」
第二次火星探検隊から帰還した主人公。
火星での長い任務を終え、地球での入院生活も終った主人公だが、
まだすぐには故郷へ戻ることが出来ない。
火星で死んだ、同じ隊の男たちの内3人の家族に会いに行く約束があるのだ。
火星探検隊の制服のまま気の重い旅。
誰もが「向こうはどんなところだい?」と訪ねるが、
どんな答えが「ぼく」には出来るというのだ。
そう、
地獄のような火星でやるせないほど酷い死に方をした同僚の死について、
遺された家族にどんな答えが出来るというのだろう?
この短編集の中で一番好きな作品です。
読みながら、
頭の中にまるで映画のようにリアルに生き地獄のような火星での生活や、
地球での主人公や彼が出会う人々の様子が想像されました。
短編なのに、
まるで映画を見終わったようなそんな満足感がありましたね。

「帰ってきた男」
ジョン・ウッドフォードは目覚めると
自分が棺の中に納められて納骨堂に埋葬されていることを知る。
必死に棺から脱出し、
夜の町を家路へと急ぐウッドフォードだったが……。
ありがちと言えばありがちと言えなくもないけど、
生き返った男の奇譚、というようなホラーとか
面白おかしく、という感じではないのね。
この生き返った男ウッドフォードがとても善良な人で、
その善良さゆえの悲哀がやさしく漂う感じ。

「凶運の彗星」
地球に近づきつつある緑色の彗星。
人々は興味を持ちつつも、その彗星が地球にぶつかることなく通り過ぎる、
心配ないという科学者たちの発表もあって、
特にことさら心配するということもなかった。
マーリンも、旅行中はその彗星のニュースについては忘れていたのだったが……。
かなり奇想天外な方向のSF短編。
ありえない~というか、
昔のSF映画にならありそう……って感じの作品でした。
ただ、
伝聞で仔細を知る、
みたいな手法がちょっと冗漫だったような気がします。
もうちょっとドタバタがあるともっと面白かっただろうにって思いましたです。

「追跡者」
4人のSF作家が集まり、話がSFのことになったとき、
その中の一人、キャリックが奇妙な体験について話し始めた……。
落ちが見事に決まったショートショート。
巧い!って感じですねぇ。

「翼を持つ男」
医師ハリマンが手がけた赤ん坊には驚くべき秘密が隠されていた。
背中にある奇形じみたこぶを調べてみると、
それはこれから生えてくるだろう翼だったのだ。
電気爆発に巻き込まれた彼の両親の内、
父親は死に、母もまた赤ん坊を産み落とすとともに亡くなった。
この寄る辺なき、驚くべき赤ん坊は
この病院内で秘密裏に育てられることになるが……。
この短編集の中で2番ぐらいに好きな作品ですね。
これも「風の子供」同様にファンタジックな物語で、
ストーリー展開も似てます。
が、もうちょっとこちらの方がドラマチックで私好みでした。

「太陽の炎」
水星での任務から離れ、宇宙探査局に辞表を出したケラード。
自宅へ戻った彼のもとへ探査局の上司ハーフリッチが訪れ、
水星で何が起こったのかと問いただす。
ケラードの証言が真実ではないことを見抜き、
真実を知るためにやってきたのだ。
しかしケラードはすでに説明した通りのこと以外口にするつもりはなかった。
うーん、
正直言って、こういう精神的な体験って、
ケラードじゃないけど、
実際に自分が体験しなけりゃ何とも言えない茫洋としたものなんですよね。
言葉にしても映像にしても再現しづらいこういう話ってどうも苦手です。
でもラストの感じは良かったな~。
一つの体験で人間が誰も同じように感じるわけじゃないってところが。

「夢見る者の世界」
黄土色の砂が延々と連なる砂漠。
砂漠は今深紅の落日が放つギラギラした光を浴びていた。
ジョタン王国の王子カール・カンは、砂漠民の天幕を見つけ、
そこで族長の荒々しい美貌の娘「黄金の翼」と出会った。
カール・カンの眠りは、目覚めから始まる。
それは、
保険会社に勤務する平凡で気弱な
ヘンリー・スティーブンズの目覚めを意味するのだった。
どちらが夢でどちらが現実?という物語です。
このカール・カンの世界が魅力的で、
ヘンリーならずともこちらが現実だったら素敵だろうと思っちゃいますね。
ファンタジックな展開の物語の足元をすくうような
SFっぽいラストがまたひねりが利いてて面白かったです。
(2005年5月25日)

 2016_01_29




ウォーレン・マーフィー「愚か者のララバイ」
ハヤカワ文庫

トレース&チコシリーズの最終作です。
結構前に大好きだったシリーズだったので、
今頃という感じではありますが最終作を見るというのは寂しい限りです。

さて、600万ドルの生命保険に入った映画スターの
トニー・マキューのボディーガードの依頼を受けたトレースでしたが、
すでにトニー・マキューは何者かに命を狙われているらしいことが判明。
しかも大酒飲みでわがままできまぐれなスターに
トレースは振りまわされっぱなし。
現地の映画関係者のほとんどが
マキューに恨みを抱いている事もわかる。
そして映画関係者の一人が死体となって発見され……。

くっだらないジョークを連発する
大酒のみのダメダメ私立探偵(始めの内は保険調査員だったけど)トレースと、
彼の恋人チコの最後の事件です。
チコのフルネームはミチコ・マンジーニ。
日本人とシチリア人のハーフで、
職業はダンサー兼パートタイムの娼婦
(だったけど、本作ではダンサーを廃業して私立探偵になってます)で、
頭が良くて小柄な美人で、口が悪くて、
驚くほどの大食漢。
この魅力的なキャラクターが今回
登場するのがホントに最後のほうだけ。
ほとんどトレース一人が出ずっぱりという状態ですが、
チコの影が薄いというわけでは在りません。

名ミステリーという名前は絶対に頂けないだろうけど、
やっぱりめっちゃ面白くて大好きなシリーズだわ。
(2001年10月9日)




今回感想を転載してて思ったんですが、
どうしてわたしはこんなに
トレースにつらくあたっていたんでしょうか。
転載するウォーレン・マーフィーの感想は
以上ですが、
本シリーズは全部で七作。
「二日酔いのバラード」
「伯爵夫人のジルバ」
「仮面のディスコテーク」
「豚は太るか死ぬしかない」
「のら犬は一生懸命」
「チコの探偵物語」(ヒドイタイトルですが原題はToo Old a Cat)
「愚か者のララバイ」
となってます。

 2016_01_28




ウォーレン・マーフィー「二日酔いのバラード」
ハヤカワ文庫

「二日酔いのバラード」は、
私の好きなトレース&チコシリーズの第1作目にあたる作品です。
1980年代に出たアメリカの探偵小説ですね。

主人公デヴリン・トレーシー、
通称トレースは保険会社の調査員というお仕事。
いつもいやいやながら仕事をしてるいいかげんな男で、
女好きでアルコール中毒気味、というところかな。
口八丁手八丁で、
いつも調子の良いことばっかり言ってるけど、
めったに良いことは言わない男ですね。
ま、アメリカの探偵小説(や映画)に
わりとよくあるタイプのヒーローです。

私が大好きなのは、
トレースの相棒でありルームメイトのチコ。
本名はミチコ・マンジーニ。
日本人の母とイタリア人の父を持つブラックジャックのディーラーで、
パートタイムの娼婦なんです。
均整の取れたボディの小柄な美人で、
恐るべき大食いと知性がきらめくという。
ううっ、かっこいいです。
ハッキリ言って、彼女が居なければ、
どんなにトレースがあちこちでタフを気取っても
事件は解決しないでしょうというぐらいの女性なんですね。

さて、本作のストーリーは、
老人のための療養所で死んだ男が、
死ぬ直前に保険金の受け取り人を
家族から療養所の院長に変更していたのは何故か
という謎を解明し、
ついでに同じ療養所に入院している
保険会社のボスの友人についても調べてくる
という使命を負ったトレースが、
しぶしぶながらラスベガスからニュージャージーへと飛んでくるというもの。

トレースのタフぶりっこさえ受け入れられれば
結構楽しめる作品ではないかと思います。
(2003年3月14日再読)

実はこの感想より先に、
同シリーズの別の作品について
こんな紹介をしてたことがあります。

ウォーレン・マーフィー「豚は太るか死ぬしかない」
ハヤカワ文庫

私の大好きなトレース&チコシリーズの
うーん、多分真ん中ぐらいの位置(順番的に)にある作品です。

下品で下らないジョークを連発する保険調査員デヴリン・トレースと、
彼の恋人ダンサー兼パートタイムの娼婦で
口が悪くて大食いのチコ(ミチコ・マンジーニ)のコンビの
ドタバタ系ミステリー。

この作品では
チコと彼女の母ノブコが出席する
サンフランシスコで行われる日系人の大集会に連れ出されたトレースが、
多額の生命保険をかけて失踪した不動産屋を探すことになります。
残された妻は夫にかなり踏みつけにされてた人で、
もし事件でなかったら後で夫にしかられるから……と
警察沙汰になるのを避けていますが、
やがて意外な場所で男が死体となって発見され……。

けして名作ミステリーとは呼べないシリーズだけど、
ハードボイルドになりそこねみたいなトレースと
かっこいいチコの魅力は捨て難いものがあります。
吉田秋生の表紙も雰囲気ぴったりで好きです。

 2016_01_27




イアン・バンクス「蜂工場」
集英社文庫

え~っ、お噂はかねがね……という感じの作品で、
中々実際に読む機会が無かったんですが、
ブックオフの100円棚で発見してしまい、
とうとう読むことになっちゃいました。

16歳のフランクはスコットランドの小さな島で父と二人で暮らしています。
ヒッピーだった父親の気まぐれな考え方か何かで戸籍も入れられず、
人前では父親を「おじさん」と呼んで育ったフランク。
学校にも通わず、父から直接教育を受けて、
ほとんど小さな島の中だけで暮してきたのでした。
幼い時に犬にペニスを噛み切られたという肉体的な欠陥を持ち、
現在精神病院に収容されている兄を持ち、
奇妙な儀式めいた小動物の殺害を繰り返しているフランク。
彼なりに秩序だった生活が乱され始めたのは、
精神病院から兄が脱走したというニュースだったのでした。
そして、その兄から今から帰るという電話があり……。

いや~、
このサイコっぽい少年フランクの一人称で語られる物語、
色んな意味ですごかったです。
まずとにかく
フランクの小動物虐待のディティールがめちゃめちゃ細かいの。
いっちゃった子本人が語ってるってリアリティがありますよね。
この細かさ。
しかも、それが、
どす黒い怒りなどからの衝動ではなくて、
宗教儀式に近い行為だから、
妙にねちっこさが感じられないんですよね。
この妙なあっさり感で、
幼い頃に犯した三つの殺人事件のことまで語られちゃったらもう。

フランクの兄エリックが精神病院へ行くことになった
直接間接の理由についても、うわ~って感じで。

そしてそして、このラストは……。
うーん。一応「何かある」ことは知ってましたけど、
その「何か」がこれだったとは
という驚きにひっくり返りそうになりました。

面白かったですね。
でも、ダメな人は絶対にダメだと思います。
あ、でも後味について言えば、
マキューアンの初期作品と比べると爽やかとも言えるかも。
比べるものじゃないけども。
(2002年12月1日)

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