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ミュリエル・スパーク「独身者」
新潮社

土曜日。
ロンドン旧市内にある小さな筆跡博物館の
副館長を勤める三十七歳のロナルド・ブリックズは、
喫茶店で黒髪の若い女性と白髪の男性のカップルを目にした。
ロナルドの連れの法廷弁護士マーチンの話によると、
白髪の男はインチキ交霊術で告訴されている男だという。
ロナルドはその男に見覚えがあった。
癲癇の持病を持つロナルドは、
自分の記憶がこの病気によって異変をきたしているのか試したかった。
が、
マーチンと別れてふたたびその喫茶店へ戻って男を確認したが、
思い出すことは出来なかった。

白髪の男の名はパトリック・シートン。
パトリックは今、二つの問題を抱えていた。
一つは裁判、もうひとつは愛人アリスの問題だった。
パトリックを崇拝しているアリスは、
糖尿病を患っていて、
そしてパトリックの子を身籠っていた。
パトリックはアリスに中絶するように言い聞かせているのだが、
彼女は首を立てに振ろうとはしないのだ。

絶版本の女王(?)ミュリエル・スパークの、
現在私が入手し得る本の最後の一冊が、
この「独身者」です。
図書館の書庫の中から引っ張り出してもらいました。

うん、面白かったです。
ロナルド、パトリック、アリスとその友人のエルシー、
パトリックを客分とする心霊主義団体の集会、
この団体のリーダーである女性マーリンの甥ティムとロナルド、
新聞記者マシウとエルシー……と、
序盤からくるくると変る場面と、
登場人物の多さにちょっとびっくり。
でも、
読み進んでいく内に、
基本的な登場人物が分ってくるのでご安心ください。
誰が誰だっけ?というほどの混乱はないはず。

さて、
物語は主にパトリック・シートンの裁判について
を中心に進んでいきます。
これがすっごくスリリングでしたね、
意外にも。
パトリック擁護サイド反サイドが入り混じり、
そこにロナルドの癲癇についてとか、
アリスの糖尿病に関するパトリックの怪しげな動きだとか、
色んな片思いだとかが絡み合って、
かなり複雑な状況。
裁判はどうなっちゃうんだろうとハラハラいたしました。

登場人物たちそれぞれのキャラクター描写も秀逸。
個性的ではないような、
割と平凡な登場人物もきっちりと描かれてるんですよね。
特異なキャラクターに
彼らが埋もれてしまうというようなことがないの。

最後の最後に
「独身者」というタイトルの意義というか重みが分ると、
今までミステリっぽい味わいを存分に楽しんで来たのにも関わらず、
もっと深いものを読んでいたような
不思議な読了感に襲われました。
(2005年7月18日)

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 2015_04_30




参加させていただいてる
ネット上の句会のネット句会Qに投句してきました。
今回は兼題「立夏」。

前回は、テーマ詠で
「嗅ぐ」または「鼻」でした。
リンクはっておきますね。
ネット句会Q
嗅ぎまはることの眩しき若葉かな しま
目の端に鼻の影あり陽炎へり しま
一句目のが特選1並選1
二句目のが特選1。
特に一句目はすてきな選評まで頂いて、
順位的にはそんなに高くないけど、
嬉しかったです。

しかし、「鼻」って難しかった。
でも、
終ってからどんどん出来たりするんだよね。
困ったものです。

 2015_04_29



ミュリエル・スパーク「シンポジウム」
筑摩書房

アメリカ人の画家ハーリー・リードと
オーストラリア出身の裕福な未亡人クリス・ドノヴァン
のカップルが催したパーティを軸にして語られる物語。
進行していくパーティの様子に、
10人のパーティ出席者たちの
パーティ以前のいくつかのエピソードが挟み込まれて、
中流以上の階級と思われる人々の集まる何気ないパーティの裏に
いくつかの毒がしのんでいることに気が付かされる。

なんとも皮肉に満ちた作品で、
思わず知らず顔がにやにやとしてしまいます。
タイトルがまたいひひっと笑ってしまうような嫌味な感じじゃないですか。
「シンポジウム」ですよ。
(日本でいうシンポジウムとあちらのsymposiumって違うのかな?
とりあえず日本語の意味で考えております)
でも、
実際に彼らが集まって交わす会話は、
基本的に本音を包み隠した当たり障りのない会話。
で、どこで辛らつな本音の応酬が拝聴できるのかと言うと、
それぞれの舞台裏なんですよね。

ホストのハリーとクリスが気になるのは、
何と言っても
オーストラリアの女性大実業家ヒルダ・ダミアンの一人息子
ウィリアムの結婚相手マーガレットについて。
一見まともでおとなしそうなお嬢さんだけれども、
なんだか裏があるように思えて仕方がないんです。
それにどこかで見た顔のような気がするし……。

ウィントツィンガー夫妻の舞台裏では、
目下彼らがそれぞれに愛情を注いでいる
アメリカ人の大学院生ルークについて。
お互いにルークと自分の配偶者の関係を気にしながら、
それをはっきり口に出すことも躊躇われるんですよね。
ハーリーについてのやや辛らつな評も。

スージー卿とその若い後妻の舞台裏は、
とにかくごく最近入られた強盗についてでいっぱいいっぱい。
とはいっても、
いっぱいいっぱいなのは夫ブライアン・スージーだけのようで、
若い妻ヘレンはちょっと冷笑ぎみ。
学生時代からの親友で、
現在は義理の娘になってるパールへの手紙で
飾らない思いの丈を披露してくれてます。
舞台裏の裏、というところでしょうか。

ダミアン夫妻の舞台裏……
というよりマーガレット・ダミアンの舞台裏は、
この物語の真の主賓かも知れません。
それは読んでのお楽しみですね。
とてもここで言葉にすることは出来ませんって。

登場人物はまだまだ。
誰もが知ってるホモセクシャルのローランドと彼のいとこのアナベル、
息子の結婚に表向きはいい顔しつつもマーガレットを信用してないヒルダ、
なんだかつかみどころのないあやしげな青年ルーク。
そして、
マーガレットの家族たち。
特に叔父のマグナスの存在感はいつまでも強い印象を残します。
精神病院に収容されてる狂人でありながら、
一家の相談事を引き受ける導師としての地位を確立してるんです。
はげしく「まともでない」のはこのマグナスだけですが、
それ以外の登場人物もそれぞれどこか歪んでるの。
でも、致命的な歪みではないところに、
スパークの鋭い皮肉が効いてくるのかも知れません。
切れ味がホント良くて、
うっかりするとしばらくその切り傷に気が付かないかもしれないぐらい。
洗練された職人技の域ですね。

やっぱりスパークって面白いな~ってしみじみ思います。
が!
が!
残念なことに、私が利用してる図書館には、
もう彼女の著作が置いてないんですよ。
そして、彼女の著作ほとんどが現在絶版らしいのです。
もうこれ以上彼女の作品を読んで、
そのほれぼれするような切れ味を楽しむことができないんでしょうか。
(2005年5月4日)

 2015_04_29




ラップ使い終わったので、
ラップのケースから金属の歯の部分を外すとき、
ちょっと左手の人差し指を負傷して、
もう晩御飯作る気力がなくなったわたしです。
まあ
今ご飯つくりブームが来てないので、
いつも気力はないんですけどね。
たまに恐ろしい勢いで
ご飯つくりブームが来て、
非常に凝ったものを前の晩から作り出したりしてました
あと、味噌とか梅酒を手作りしたくなったりするんですが、
それらが完成する頃にはブームが去っていることを
経験的に知っているので、
手を出したことはないです。

ところで、
ユニクロのUT、
今、ベルギーの人気漫画タンタンとかのプリントが
出てますね。
タンタン大好きなんで、欲しいっって思ったんだけど、
重ね着用の薄い生地だったんで考えてしまいました。
同じくわたしが好きなサンリオのパティ&ジミーのTシャツもあって、
おおっとかテンション上がったんだけど、
これも薄手なんですよね……。
というか、去年もユニクロでオズの魔法使いのTシャツ
衝動買いしたんだけど、
結局ほとんど着なかったという。
プリントTシャツってだいたいこういう感じで
タンスのこやしになっていくという。

 2015_04_28



ジェレミー・ドロンフィールド「飛蝗の農場」
創元推理文庫

なんか不思議な感じの作品でしたね。
どんな風に表現したらいいんでしょうかというような。
うたい文句だった「サイコ」とか「戦慄」とかって単語には
首をかしげたくなるんだけども。

ヨークシャーの荒れ野で一人で農場を営んでいるキャロルの前に、
謎めいた男が現れます。
不幸な経緯からキャロルにショットガンで
傷を負わせられてしまった男ですが、
意識を取り戻した彼には、
それまでの記憶がないというのです。
傷が治るまでということで
納屋で寝泊りするようになった男に対して
警戒していたキャロルですが、
次第に男に惹かれていきます。

このキャロルと男の暮しをメインにして、
いくつもの物語が挿入されています。
ポルノ男優の替え玉として働くことになった照明係、
仕事で失敗して突然のクビを言い渡された自動車修理工など。
彼らがどういう存在なのかは、
読んで行くうちに分かってくる、
というか分かっちゃうんですけど、
はじめは何だろうってドキドキしましたね。
特にフランスで、
奇妙な芸術家の双子を抱える女に言い寄られる便利屋のエピソードは、
サイコちっくな匂いがして、ドキドキしました。
これが匂いだけってところが逆に面白かったりして。
(2002年9月15日)

 2015_04_28




マイケル・シェイボン「ピッツバーグの秘密の夏」
早川書房

 ピッツバーグでの大学生活最後の夏だった。
ぼくアーサー・ベクスタイン、通称アートは、
レポートを仕上げるために行った図書館で
同じアーサーという名前の青年に声を掛けられた。
明らかにゲイで、
しかも自分に秋波を送ってきたと思えるこのアーサーに対し、
アートは何故か一緒にビールを飲みに行くことをOKしてしまう。
アートが必死で張った予防線のためなのか、
違う理由があるのか、
アーサーははっきりとアートを誘うということはしなかった。
浮かれ騒ぎのパーティや次々に紹介される新しい友人たち。
その中でアートは、
アーサーと同じ図書館で働いているフロックスという女の子と恋に落ちた。

あ~、
なんだか青春映画を観ているような錯覚に陥ってしまうような作品でした。
私の好きな映画「グリニッジビレッジの青春」に、
もうちょっと明るい日射しを足して
現代に移動させたような感じでしょうか。
主人公がユダヤ系というのも同じだったかな?
漠然とした将来、刹那的な恋、苛立ち、衝動、友情、親の思いとのズレ。
そういうのがとても生き生きと描かれてました。

さて、この物語の主要登場人物は、
アート、アーサー、フロックスと、
アーサーの友人のバイク乗りのマッチョなチンピラ風のクリーブランドと
彼の恋人のジェーン。
それからアートの父親。
アートの父はインテリギャングの大物なんだけど、
息子にはその仕事を継がせたいとは思ってないし、
アート自身もそういう世界を軽蔑してるんですよね。
だけど父親には頭が上がらないの。
仕事で父がピッツバーグへ来ることがあれば必ず食事を一緒にして、
自分の彼女が父のお眼鏡にかなわなかったらとドギマギしてって感じです。

友人たちには父のことを何も話してないアートなんだけど、
初めて出会った時からクリーブランドだけは
彼の父がギャングの大物だって知ってるんです。
そしてアートの父親に何とか紹介してもらって
自分を売り込みたいと思ってる。

アーサーは、
スマートで奇想天外で行動力があってチャーミングな青年。
モハメッドという恋人らしき青年という存在があるんだけど、
どうも言外にアートへの思いがちらちらと見え隠れしてます。
で、
アート自身が完全ノーマルなら何の問題もないんだけど、
どうもそうだと言い切れないらしくって……。
かくしてアート、フロックス、アーサーという三角関係へ。

本当はこういう恋愛の
あっちへいったりこっちで悩んだりというのを読むのが
本当に苦手でイライラしちゃうことが多いんだけど、
今回あまりイライラせずに読めました。
メインが女(フロックス)と男(アーサー)の間で悩む三角関係の恋愛、
ではなくて、
ナイーブで衝動的な青春そのもの、だったからかな。

そうそう、
訳者あとがきに、この作品がシェイボンの処女作だということ、
そして第二作目が出るより前に本書の映画化が決まったとあるんだけど、
実際映画化はされたんでしょうか。
(2005年8月10日)




さて、長々とマイケル・シェイボン作品が続きましたが、
今回で終り。
今回、転載するにあたって、
この映画化の話を調べてみました。
2008年に「The Mysteries of Pittsburgh」として
映画化は実際にされたみたいですね。
日本には入ってこなかったみたいですが。

 2015_04_27



えーっと、
唐突ですが、
毎週日曜と火曜にアップしてた大須賀乙字についてですが、
しばらくお休みしようと思ってます。
というのは、
これを書くための元の文章に、
もうそろそろ追いつきそうだから。
ちなみに、元の文章を基本にして、
めっちゃくだけた感じで、細かい情報を付け足して
ブログにのせてたんですが、
そのブログの文章を書く時に付け足したことを
また元の文章にすこし還元させて、
最後まで書いたら、
コピー本を作っとこうと思ってます。
といっても、結構な分量になりそうなので、
製本だけ印刷屋さんにお願いする予定です。
今、大正六年なので、
大正九年の乙字の死まであと少し
(に、なるのかな)
興味のない方が多いとは思いますが、
再開したら、もうちょっとお付き合いください。

 2015_04_26



マイケル・シェイボン「サマーランドの冒険」
早川書房

気弱で野球のへたなイーサンは、
科学者で発明家の父と二人でハマグリ島に越してきた少年です。
現在そこの野球チーム、ルースターズに所属していますが、
チームの7連敗の原因はほとんどイーサンというありさま。
「野球なんか大きらいだ」
とはいうものの、
野球をやめたいと言い出せないのは、
父が大の野球好きでがっかりさせたくないだけなのでしょう。

ある日、
そんなイーサンの前に彼をスカウトしたいという男があらわれます。
スカウト、
といっても野球チームへではなくて
世界を救うヒーローに。
イーサンにそんな力があるのでしょうか。
「コヨーテ」によって壊滅寸前の妖精(フェリシャー)の国の現状を見て、
何かしたいと思うイーサンですが、
何をすればいいのかすら分からないのです。

そんな時、
「コヨーテ」の手下がイーサンの父をさらっていってしまいます。
「コヨーテ」は父の持つ発明が目当てなのです。
浚われた父を救い出すため、
イーサンと
チームメイトで一番野球の上手いジェニファー・T、
同じくチームメイトで、
自分のことをロボット人間だと思っている不思議な少年トールは
フェリシャー「イノシシの牙岬族」のリーダーで
生き残りのシンクフォイルと共に世界を超えた旅に出発します。


このあらすじで、どういう話なのか想像つくでしょうか。
わたしも書いていて、訳がわかりませんが。
正直言って、
最初はなかなか物語に入り込めませんでした。
イーサンの済んでいる「ハマグリ島」と、
野球の試合に行く「サマーランド」という二つの地名の関係が
なんだかよく分からなかったんです。
ところが、
不思議なことに異世界への旅が始まったとたんに、
今まで読むのに苦労したことなんてふっとんで、
楽しく読めてしまいました。

戦いや交渉事がすべて野球、
というのがすごくアメリカンな感じで、
いかにもシェイボンっぽいと感じます。
一癖も二癖もある登場人物たち、
うーんタフで繊細で……いとおしいかったです。

野球がいまいち分からない私が、
何でそこまで野球……
と何度も思ったということは秘密。
(2005年4月1日)

 2015_04_26



今日4月25日は、角川俳句5月号の発売日ー。
ということで、ちょっと書店に寄る用事があってので、
ついでにチェックしてきました。
まあ、実際のところ、父が定期購読してるので、
父のところに送られてくるんだけど、
微妙に遅いから。
しかし
うーん、
ない。
そう、うちの方では雑誌が発売日に店頭に並ばないことが
割とあるんです。

これだけ進化してきて、
交通の便も(こちらはゆっくりだけど)良くなっているのに、
物流に関しては、どうなんだろうね。
通販とかだと、割と期日以内に届くので、
もう雑誌に限った話なのかな。

 2015_04_25




マイケル・シェイボン「悩める狼男たち」
早川書房

これはこの間読んだ「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」の作者の短編集。
長編の上手い人が短編でもいけるかというと、
実際そうでもない場合もありますが、
マイケル・シェイボンはホント上手い作家だと思いました。
とてもよかったです。

なんて表現したら良いのかなぁ。
主人公にとって居心地の悪い緊張感が全編に共通してて、
ラストですとんと落される、
この感じがとても上手いの。
ホロッとさせられたり、
「ああ!」って思わされたり
「ああ……」と思わされたり。

最初の作品であり表題作の「悩める狼男たち」は
ポールとティモシー・ストークスという少年の物語。
まずこの作品でやられちゃいましたね。
みんなのわくわくに嵌りきれない、
かといって何かひとつ光るものがあるわけでもないポールと
一緒になって非常に居心地悪い気持を味わえました。
ラスト、
知らない少年達を乗せた黄色いバスにのって
ティモシー・ストークスが出て行くところ、
なんとも言えない味わいでした。

最後の作品「暗黒製造工場で」だけはちょっと毛色の違う作品。
ホラー小品なんです。
これは長編「ワンダー・ボーイズ」の中に出てくる
ホラー作家の作品という設定。
最後よりも何よりも、
怪しげな製造工場って存在自体が怖かったですね。

ああ、これは「ワンダー・ボーイズ」も
探して読まなければならないみたい。
(2002年4月22日)

 2015_04_25




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Sima

Author:Sima
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