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四 新傾向批判(明治四十二年~

新傾向批判


新傾向の俳句について、
もともとの言い出しっぺ的な存在である大須賀乙字も
やや不満というか危惧するところがあるというか、
そんな感じで、
河東碧梧桐門の古参の、名古屋の伊藤観魚みたいに、
ハッキリ新傾向嫌いを標榜する人もいたわけですが、
もちろんそれ以外にも、
この新傾向俳句について反対意見を出す人たちがいました。
たとえば、
明治四十二年の四月ごろと推定されますが、
「ホトトギス」の坂本四方太から、
非難の意を表する来書があったことを、
碧梧桐は「日本及日本人」誌上で明かして、
それについて反論を述べているらしいです。
また、秋には
宇佐美不喚楼、荻原井泉水から、
「日本俳句鈔」第一集の句についての難詰書が寄せられたことも、
碧梧桐は書いていて、それにも反論をしてるみたい。
明治四十三年には、
「蝸牛」新春号に、なかなか辛辣なことが載せられてたとか。

さて、
大須賀乙字はどうだったかと言うと、
この「蝸牛」新春号で、
想ふに新風を競ふと云ふとも、足に歴史といふ鉄鎖を繋いで走って居るので、
この鉄鎖を断つときは、文学の埒外に脱するのであらう

と書いて、
ハッキリした批判ではなくて、
むやみやたらに新奇に走ることについて警告を出してるんですが、
同誌の三月号では、「新傾向の短所」と題して、
喜谷六花や広江八重桜など、同門の句を挙げて
句が具象的光景を現わしておらず、
主観的趣味に陥っていると批判しはじめます。
笹鳴や秘事相談の君と我 八重桜
君が半面この庭訓を笹鳴ける 六花
といった句ですね。
「新傾向の亜種」「禅語」「極端に意味の不明」
と、手厳しい感じです。
また、「懸葵」誌の方でも「現今俳句評」の連載を始め、
ここでも手厳しく新傾向俳句について論評してます。

碧梧桐は、というと
四月に「新傾向概論」を執筆し、
そこで
「物の革新は先ず事相の破壊である」
「短所を挙げるよりも、長所である新意を認識することが、今日の急務」
と、先の乙字の論への反論のように書いてます。

ここに、碧梧桐VS乙字の新傾向俳句を巡る論戦のゴングが鳴り響いたわけです。

碧梧桐が四月三十日の「一日一信」で、
季題趣味の連鎖を尊重するという乙字の説を否定すれば、
五月には、乙字が「蝸牛」誌で
新傾向作者に左の一言を提議する、別事にあらず、
新風の或種の句には前書若しくは自註を附けよと云ふ事である

と、
つまり新傾向俳句は意味が判り難いので説明が必要だと言ったら、
すかさず碧梧桐がそれに反撃する、
ってな流れがあったみたいです。

お互いの目指す「俳句の新しさ」の方向や表現が違ったこともですが、
なにより、二人の確執が深くなっていったのには、
物理的な距離があったと思われます。
乙字は東京、碧梧桐は旅先。
顔を合わせずに、それぞれ紙面上で、
文字のみで戦うわけです。
必要以上に強い語調になってしまったり、
書き手そのものへの批判になってしまったり、
この辺り、ネット上で起こる論争と似たようなものかなと思います。

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 2014_11_30



エドワード・ラザファード「ロンドン」
上下巻 集英社

ああ~、
とうとう読み終わってしまいました。
二段組
上下巻とも500ページを越すこの物語を。

何度か元の章に立ち戻って読み返したりして
舐めるように慈しんで読んできた「ロンドン」、
とうとう読み終わった時には、
ホッとするような、
寂しいような気持でふか~い溜息が出てしまいました。

タイトルの通りロンドンを舞台に、
紀元前のケルト人時代、
いやいや地球に生物が発生するところから始まり、
現代に至るまでという、
ホントに長大な歴史絵巻と言った感じの小説です。

ケルト人時代の漁師の一家を中心に描かれた「河」から始まって、
章ごと次々に時代は進んでいきます。
最初の「河」の家族の直系
(一条の白髪と両手の水かきという印を持つ子供が現れる家系)
とも言えるダケット家をはじめとして、
傍系のドゲット家、ブル家、シルヴァースリーヴス家、
バーニクル家、フレミング家、カーペンター家、
メレディス家などなど多くの一族たちと
ロンドンの歴史が絡み合った物語で、
最初に登場したときはすっごく嫌な人達の家庭だった子孫が、
次の章では主要登場人物になってたり、
逆に、
けなげな少年として描かれた人物の子孫がつまんない人間だったりして、
もう最後はどの一族もいとおしい気持で一杯になってしまいました。

この長大な歴史物語で、
登場人物達はすっごく生き生きとその時代に生きてるんですよね。
ディケンズばりの喜悲劇が
実際の歴史と共に作品の中で息づいてるんですよ。

高校の時に
数字を覚える必要があんまりなさそうだから
というだけの理由で地理を専攻したお蔭で
世界史にはとんと縁がない私ですが、
それでも、
あ~、この名前知ってる!
って人物がてんこもり。
もちろん主要人物たちの生活に肉薄するほど近い存在の
実在の著名人はそう多くはありませんが、
チョーサーやシェイクスピアなどは
嬉しくなるほどの交友ぶりを見せてくれました。

それにしても、
ロンドンの歴史ってほぼ宗教の歴史のようでしたね。
カトリックとプロテスタントの激突するあたりの何章かの面白さはもう、
何も言うことがないぐらい。
スリリングでした。

時代ごとの上流階級と下層階級の人々の生活観や
生活様式もたっぷり楽しめて。
もう図書館に返したくないほど気に入ってしまいました。
もちろんちゃんと返却はしますが。
(2002年5月22日)

 2014_11_30


来月から

Category: 日記  


この間ゲームの話を書きましたが、
実はまたFF9を始めました。
今、リンドブルムの狩猟祭という
キチガイじみた祭が終ったところ。
今思い出したけど、ニードルフォーク盗み忘れてたわ。

まあ、それは置いておいて。

気が付かれてたでしょうか。
実は10月11月は、
木曜は隔週で児童文学と絵本 de 俳句を
金曜日は面白いと思った本を、
日曜と火曜は「乙字のーと」をアップしていました。
あ、マイナー度ランキングは毎日で。

それ以外の日は適当に書こうと思ってましたが、
その適当なものが、ついつい長くなったりして、
一日に三つアップとか
そんなうっとおしいことになったりしてました。
来月は、出来るだけ
一日に二つまでとしたいので、
なんか考えてます。

本の感想は一日一つにまとめて、
土曜から水曜までが
マイナー度ランキングで
木、金が、ランキングはお休み、
とか。

今のままですすんだら、
年内にネタが切れるとか
そういうのではないんだけど。

ここのところ飛ばしすぎたので、
ちょっとだけゆるくして、
長くやってきたいと思ってます。

 2014_11_29




アンドレーア・ケルバーケル「小さな本の数奇な運命」
晶文社 望月紀子訳

古書店に並べられた、
あちこち放浪してきた本たち。
彼らにも語るべき過去があり、
未来がある。

そんな風に考えたこともないけれど、
この本の主人公である一冊の本は饒舌でした。

初めて彼の持ち主となったのは17歳の少年。
それから多くの他の本たちと知り合い、
別の持ち主へと渡り…
そして今、
バカンスまでに売れなければ廃棄処分と宣告された切ない身分。


面白い趣向の作品、
と思います。
作中に登場する実在の書物や作家の名前とその訳注。
私自身はあまり訳注と照らし合わせて読むのが好きではないのですが、
そういうのが好きな人なら、
結構くすぐられるんじゃないかと思います。

ちょっと変わったアイディア、
に止まらない、
ウィットのある良作の小品という感じで、
ゆったりと楽しめる作品でした。
(2005年5月)




作者は1960年生れのイタリア人。自身も古書コレクターなんだとか。
古書コレクターっていうと、
日本だと鹿島茂とか喜国雅彦とかが浮かびますが、
ヨーロッパの古書コレクターって、
なんとなくもっと凄そうなイメージ。
 2014_11_29




金曜企画のおもしろ本、
今までは、マイナー度ランキング的に並べると、
ずっと下位なので
ナカナカここで紹介できないものが多かったんですが、
今回の本は、
実はマイナー度が高くて、本来は
ラウラ・エスキヴェル「赤い薔薇ソースの伝説」
の一つ前に紹介するべきところでした。
しかし
この面白さを特別な形で表したい
と思うぐらい面白かったんです。
いつものように図書館で借りたわけですが、
手元に欲しい!と思ったぐらい。
まあ、
いつものように、いや、いつも以上に
高い本で断念したわけですが。




トバイアス・スモレット「ロデリック・ランダムの冒険」
荒竹出版

ああ~、すっごく面白かったです。
楽しかった~~。
もう、こういう話大好きです。大好き。

作者のスモレットって、
多分あまり日本では知られてない作家なんだと思うんですが、
デフォー、フィールディング、リチャードソンらに並ぶ
18世紀英国の代表的小説家なんだそうです。

話し言葉で語られる、
波乱万丈で風刺に満ちて、
ご都合主義でほろりとさせられるこの物語。
ディケンズなんかを思い出しちゃうな~って思ってましたら、
訳者あとがきに
ディケンズがスモレットの影響を受けたらしいことが書いてあって
なるほどなるほどって感じでした。

全六十九章からなる二段組500ページに渡る壮大な物語。
分厚い本に総勢7人という大所帯の共訳、
表紙裏のスモレットのくるくる巻き毛のかつらをかぶった肖像、
どれをとっても、
返却日以内に読み終わることが出来るんだろうか…
といささかビビってしまうんですが、
読み出したら全くの杞憂に終っちゃいました。
文章が簡潔で
ストーリーがよどむことなくどんどん進んでいくので、
さくさく読むことが出来るんですよね。

さて、
この物語は、
主人公ロデリック・ランダムの波乱万丈な半生を描いたもの。
まずはランダムが生まれ出る前、
両親の話から始まります。
ランダムの父は
かなりの資産と権力を持った法律家の父親と、
貧しい親戚の娘との結婚のことで仲たがいをしてます。
そういう理由による貧困の中でランダムは生れます。
が、
母親は死去し、
父親もまた悲嘆のうちに精神を病み、
行方知れずとなってしまうのでした。

かくして孤児となったランダムに対して冷徹な祖父は、
一応の教育を一切の愛情を抜きにしてあたえます。
辛い幼少時代ののち、
亡き母の兄、トム・ボウリング伯父が彼の後掲人として登場しますが、
とある事件でボウリング伯父は失脚し、
ランダムは医者の徒弟として働き始めます。
医者の元で3年間徒弟として奉公したのち、
医者が女中を孕ませたのを期に、
医者から旅費を工面させ
幼馴染の床屋の徒弟だったストラップとロンドンへ。

ロンドンで右往左往したのち、
フランス人の薬剤師の助手となります。
このフランス人薬剤師は
十六世紀後半にフランスに広まったプロテスタントの一派ユグノーで、
カトリック教徒の弾圧を受けて
ロンドンに亡命してきた多くのフランス人の一人。
ごたごたはあったもののなかなかの評価を受けて暮していましたが、
郷士ゴーリーが医者の家に下宿し娘と結婚したことから、
事態は急変。
ゴーリーらの陰謀によってランダムは解雇されてしまうのでした。

ランダム自らも困窮の中、
かつて結婚しようとした女の窮状を目の当たりにし、
なんとか女が態勢を整えることが出来た…
と思ったら、
次は強制徴募隊につかまり軍艦に乗せられるんです。

軍艦の上での過酷な生活と、友情。
艦長と軍医の悪意などを経て別の軍艦に移るものの、
副官クランプリーの非道な行いによって、
艦長と軍医の死亡及び船の座礁という結果に。
クランプリーと一騎打ちとあいなるのですが、
卑怯なやり方で殴り倒され、
身ぐるみ剥がされて陸に捨てておかれてしまいます。
そこを、
周囲の者から魔女だと噂される
隠遁生活をおくっている誠実な軍人未亡人のセイジリー夫人によって
命を助けられ、
ランダムは運命の恋人ナーシッサと出会うのでした…。

ここまでざっと紹介してきたあらすじで、
まだ物語全体の半分も行ってないんですよね。

もうめっちゃめちゃ面白いんですが、
素人として少々口うるさいことを言わせていただけると、
ちょっと註訳がうるさいかな。
アステリスク(*)が付いてるので、
何か深い意味があるのかと思いきや、
章の終りに
「パンプキン様―パンプキンには「カボチャ」の意味がある」
とかあって、
ひっくりかえったりしちゃいます。
一般的にあまり知られてない裏の意味などが
註訳で書かれてるのはいいんだけど。

アステリスクが付いてるとなんか気になるので、
もっと少なくても良かったような気がしますね。
ま、
これははじめのうちだけのことで、
そのうちに気にならなくなってきますが。

もう一つ、
読んでてこまっちゃうのは、お金の単位のこと。
しばしば登場するシリング、ギニー、ポンドって、
当時どのくらいの価値なのかよく分らないんですよね。
しかも、
すっごく貧乏生活をしてたり、
湯水の様にあるだけ使い切ってしまったりするランダムたちの生活を見てると、
さて、
どのお金がどれだけの価値があるのか
って思っちゃいました。

そうそう、
我らがランダム氏が、
物語の後半に、
完全に財産目当てで様々な令嬢を落とそうと頑張るくだりは、
うーんって思っちゃいましたね。
財産目当てのランダムは非難されることなく、
遊び好きな令嬢の冷淡さや欠点が非難されてるんだもん。
でもおもしろかったのでいいんですけど。

金銭的なことやその他、
様々なことでランダムを助け、
どんなときでも見捨てることの無かった親友ストラップを、
気が付くといつも
「私の忠実な従者」
なんて呼んでむちゃくちゃをしてるランダム氏。
ひどいっっておもいつつも、
なんだか憎めないんですよね。
(2002年8月28日)

 2014_11_28




イーサン・ケイニン「宮殿泥棒」





イーサン・ケイニン「宮殿泥棒」
文藝春秋

タイトル自体はそうでもないんですが、
かなり地味な四つの短編が納められていて、
しかもその作品の主人公たちが、
これまでコツコツと地道に歩んできた中年の会計士とか、
妻に捨てられた、もうどこをとっても平凡でさえない父親とか、
名門男子校でずっと歴史を教えてきた真面目な老教師とかっていう、
たとえば
何かの長編映画の
ちょっとした脇役程度の扱いをされるような平凡な人達なんですね。
派手なこともしないし、
かといって、
大声で他人に身の不幸を嘆くほど不幸でもない。
そんな人達。
しかも身近にドラマの主役を張れるような個性的な人がいて。

二つ目の作品「バートルシャーグとセレレム」は、
ぐっと年齢が下がって主人公は少年なんですが、
やっぱりドラマの中では脇役を演じるしかない少年なんです。
奇矯な態度を繰り返す天才の兄の影になってるフツーの男の子。

どの作品も、
読後にじんわりと沁みる味わいがありますが、
私は中でも、巻頭の「会計士」と
表題作「宮殿泥棒」が好きです。

「会計士」は、
子供の頃からコツコツと真面目に勉強して、
人生設計をきちんと立ててそれに向かって一歩ずつ進んで行った
中年の会計士の物語。
彼の幼馴染は、
どっちかといえば不真面目でちゃらんぽらんで、
全然将来についてのビジョンがないように
主人公には思えていました。
しかし、
大人になった幼馴染は、
その社交性と人を惹きつける魅力も手伝って、
今や飛ぶ鳥を落す勢いのやり手のビジネスマンに。
彼が成功を収める前に、
一度主人公の所に投資を頼んできたのですが、
それに応じることをしなかったというのが、
主人公の心の片隅にいつもひっかかっているのです。
もし……。

愛しているけど、
どうにも分かり合えてない気がする、
という父親と娘の関係も、
主人公が見せる、
ある意味トホホ、
だけどそれが何だっっていう矜持の高さも、
なんだか読後にじわじわ嬉しくなってくる作品でした。

「宮殿泥棒」は、
苦い形で長年勤めた名門男子校を退職した老教師の、
過去に彼が教えていた、
他の生徒にカリスマ的な人気のある不真面目な生徒との
再会がもたらす物語。
この生徒、
少年時代もうすっぺらいずるさの見える奴なんですが、
大人になって、
押し出しも立派な人物になっても、やっぱり……。
でも主人公の老教師の老後が
苦い悔恨や疑念で満たされることのないラストがよかったです。
(2003年3月23日)

 2014_11_28



ボアゴベー「鉄仮面」

わたしが子供の頃、
多分小学校入学前後ぐらいの時期じゃなかったかと
思いますが、
親が、
真っ赤なハードカバーの子供向けの名作全集を買ってくれました。

たから島、トム・ソーヤー、ハックルベリー、十五少年漂流記
みたいな冒険ものや、
若草物語、家なき子、小公子、アルプスの少女
みたいな少女向け、
八犬伝、源義経、弓張月
といった日本の古典、
三国志、水滸伝、西遊記といった中国もの、
坊ちゃんがあったり、宇宙戦争があったり、
最近見かけない(ような気がする)アンクル・トムとか、
結構バラエティに富んだラインナップでした。
中でも私がお気に入りだったのが、
「家なき少女」「にんじん」「黒いチューリップ」「鉄仮面」
でした。
子供向けの抄訳本って恐ろしいですね。
大きくなるにつれて、
その歳に合った翻訳のものを読む機会に恵まれたものもありましたが、
そういう上書きのチャンスがなかった作品については、
ずっとその本の印象のまんまなんですよ。
例えば、「三銃士」「アルプスの少女」「若草物語」など、
もう少し大きくなって、
改めて親が買い揃えてくれた岩波少年文庫ものにあったものは、
それなりの上書きが出来ましたが、
お気に入りに挙げた作品は、他の作品を読む機会にめぐまれなくて、
ずっとその赤い本のイメージだったんです。

さて、ぐぐっと歳を経て
映画「仮面の男」を見た時はびっくりしました。
ええっ三銃士??
実は、子供の頃に読んだ「鉄仮面」はボアゴベー作で、
それしか知らなかったんで、まさか大デュマが同じモチーフで、
同じタイトルの作品を出してるなんて。
…知らなかった。
と、がびーんとなったワケです。

それからまた少し経って、
やっぱり子供向けの本で、
講談社 痛快世界の冒険文学というシリーズに出合いました。
ここに「鉄仮面」があったんですよね。
しかもF.デュ・ボアゴベイ原作とあるじゃないですか。
ちなみに、訳と文がさとうまきことなってます。

ルイ十四世治下のフランス。
時の陸軍大臣ルーヴォワの悪政から国を救おうと、
謀叛を企てていた25歳の反乱軍の隊長モーリス。
その恋人のヴァンダも彼を愛するあまり、
16歳のときからモーリスに付き従っていた。
しかし、
彼の軍にはスパイが潜んでいたのだった。

そのスパイのせいで奇襲作戦は失敗し、
激しい戦いの末、
ほとんどの反乱軍兵士は死に、
ヴァンダとモーリスの忠実な従者パシモン、
そしてやとわれ兵士がたった二人だけが辛くも逃げ切れたのだった。
では、
モーリスはどうなったのだろうか。
その夜の戦いで、
隊長か、あるいは副隊長が捕えられたと聞くヴァンダたちは、
モーリスの生存の可能性に心躍らせるが、
もしも隊長ではなく、副隊長であれば、
憎い裏切り者のスパイ、フィリップだけが生きているということになるのだ…。

その日からヴァンダはモーリス救出にすべてを捧げる日々が始まる。
モーリスらしき囚人はバスチーユに送られたらしい。
バスチーユのせんたく女として働きながら、
モーリス救出のチャンスを狙うヴァンダの前に、
かつてモーリスの謀叛の血判状にくわわっていた、
ルイ十四世の愛人だった女オワンプ、ソワソン伯爵夫人が現れる。
彼女の助けを借りて、
見事バスチーユから囚人を脱獄させることに成功する。
しかし、
囚人のかぶらされていた鉄仮面をはぐと、
そこには見たこともない男がいたのだった…。

と言う感じの超ドラマチック展開。
ちなみに、わたしの知ってた「鉄仮面」は、
徹頭徹尾ヒロイン視点を貫く、ちょいメロドラマ入った冒険譚。
敵はルーヴォアに絞られてて、非常にシンプルでした。

まあ、つまり、
子供向けの抄訳本を読んで、それが気に入ってたら、
時々違う訳を読んで上書きすると、
また楽しいよと、そんな話でした。


 2014_11_27



ウィ・ギチョル「9歳の人生」
河出書房新社 清水由希子訳

小学三年の夏休み、
ペク・ヨミンの家族は
今までイソウロウしていた父さんの友だちの家から、
山のてっぺんにある家に引っ越した。
それは、
ヨミンが想像していたような山頂に建てられたガラスの城などではなく、
山の斜面に広がる貧民街、
いわゆる「山の町」の一番高い所にあるぼろ家だったが、
たしかにわが家だった。

貧しいけれどヨミンには
採石場で働く頼もしい父、優しい母、5歳の妹がいる。
そして、
遊び場があり、友だちがいて、学校がある。
そしてそこには
9歳の人生があるのだ。

楽しかったです。
主人公「ぼく」ことヨミンが
もう可愛らしくて可愛らしくて。

物語は、
貧民街に住む一人の少年の
9歳の一年間を描いたもので、
彼にとっての大きな出来事、小さな出来事、いろいろあって、
9歳の1年分成長する話なんです。
健康で明るくて物怖じしない性格のヨミンの主観で描かれるから、
端から見ると悲惨な出来事も、
軽やかにユーモラスに言葉になる。
で、
それが交じり合って、
ほのぼのと切ないわけですよ。

背景はとてつもなくシビア。
貧困はもとより、
孤児だったり
酒乱の父に苦しめられてたり。

姉とたった二人で暮らしているヨミンの友達キジョンが
またいとおしいんですよ。
口を開けば奇天烈な嘘ばかり。
ずるくて小心なところもあるし、
たった一人の姉を怒らせるようなことを懲りずにしてたりするんだけど、
どんどんいとおしくなってくるの。
いわゆる「健気」な少年ではないんだけど、
物語の終わる頃には、
ああ、なんて健気な子なんだろう
って切なくさせられるのね。

とにかく不思議な郷愁を感じさせる作品でしたね。
「場所」とか
「時代」とか
「生活」に対してではなく、
9歳のココロに懐かしさを感じる、というのかな。
けして作品自体は回顧的なものではないんだけど、
作者のあとがきにあるように、
29歳の青年のフィルターを通して
9歳の人生が描かれてるからそう感じるのかもしれません。

子供が読んでもいいんだろうけれど、
かつて9歳だった者が読むべき作品、
そんな感じがしました。
10歳でも、
30歳でも
40歳でも
50歳でも。

近所の人の死も、気になる異性のことも、友達との諍いも、
出会いも別れも等しく事件で、
等しく通過点で
等しく人生だったと思い出せる人達へ。
(2005年4月17日)

 2014_11_27



ジョン・コラピント「著者略歴」
早川書房

めっちゃ面白かったです。
「キング絶賛」
最近ではどうもこのうたい文句は眉唾ものではありますが、
この本は確かにすごく面白いんですよ。

主人公のキャルは作家志望の青年。
と言っても
いつの日か傑作をモノにするための素材集めと称して放蕩三昧で、
小説なんてぜんぜん書いてない書店のアルバイトくんなのでした。
キャルは
彼とは全く性格の違うまじめで勤勉な法学生スチュワートと
部屋をシェアして住んでいます。
スチュワートとの仲は格別よい訳でもないけど、
遊びには無縁な感じのスチュワートが
キャルの女漁りの武勇伝を喜んで聞いたりしています。
二人の仲が微妙になったのは、
キャルが釣れ込んだ一人の女が、
スチュワートのラップトップパソコンなどを盗んで消える
という事件が起きてからでした。

ある日、
キャルは、
ルームメイトの法学生スチュワートが
ひそかに小説を書いていたことを知って愕然とします。
スチュワートに見せられた
彼の少年時代を描いた短編は
素晴らしい出来映えだったのです。
キャルは、
スチュワートの留守中に彼の部屋へ忍び込み、
彼の長編を盗み見てしまいます。
それは、
キャル自身をモデルにした、
まごうことなき傑作だったのです。
自分の書こうとしたことを盗まれた!
と憤りを感じるキャル。
しかし、
その矢先、
スチュワートが事故で死んでしまいます。
元々これは自分が書くはずの小説だったのだ、
そう考えたキャルは、
誰も知らないはずのこの長編を自分の作品と偽って発表します。

ひゃ~、
この作品ぐらい、
どうなっちゃうの~~と、
途中で何度も最後のページを覗きたくなった本はないかも。
も~
馬鹿~~っ
て思いながら、
なんだかすっかりキャルに感情移入してしまったのは、
作者の狙いぴったりってとこですね。
(2002年6月8日)




作者、ジョン・コラピントって
ノンフィクションの「ブレンダと呼ばれた少年」でデビューした人なんですね。
読んだ事はないけど、タイトルだけは知ってました。
ちなみに、
ジョン・コラピント って名前だけで検索すると2960件
ブレンダと呼ばれた少年 で検索すると50200件
ジョン・コラピント 著者略歴 で検索すると2510件ヒット。
まあそんな感じです。

 2014_11_26




Wiiはあるけど、WiiUは持ってない。
けど、ちょっとスマブラがやってみたい今日この頃。
ちょっとゲームの話をしてみよう。

子供の頃、家にゲームがなかった。
任天堂ファミリーコンピューター一人勝ちの時代の話。
三つ上の兄は欲しがったかも知れないけれど、
多分親の意向だろう。家にゲームがなかった。
わたしも妹も別に欲しがらなかったし、
大体、当時友達もほとんど興味を持ってなかったと思う。

二十歳ぐらいまで、ゲームって全然興味がなかった。
それが、突然開眼したのは、ウルティマ5だったと思う。
うーん、
ウィザードリィだったか、ソーサリアンだったか
はたまたイースだったか。
実はこの頃どどっとそれらにハマッたので、
どれが最初だかしっかりと覚えてない。
まあ、この順番で好きなので、ウルティマ5に代表してもらう。

ウルティマ5では何といっても、
街の外でモンスターに遭うたびにAキー(attackのA)を押し捲って、
うっかり街の中に入って、街の人に話しかけようとして
Tキー(talk)と間違えて人を殺してしまう事が頻発して、
お城の占い師に「なめくじ」呼ばわりされたことが懐かしく思い出される。

ちなみに、使ったハードはX1turbo
この持主が現在の夫。

ウィザードリィは、知り合いの名前を片っ端からメンバーにして、
方眼用紙でのマッピングにどハマり。
開錠の呪文打ち間違って「ああっ!」とか。
ソーサリアンは追加シナリオを通販で買ったりして。

結婚後は、家庭用ゲームでがんがん遊んだ。
任天堂だと、
ファミコン、スーファミ、64、ゲームキューブ、Wii
ソニーなら
プレステ1~3
セガは、
メガドラ、サターン、ドリキャス

ここだけの話、3DOリアルを買って撃沈したのも
今になってはいい思い出……
なわけあるかーい。
……卒業とかプリンセスメーカーとか楽しかったです。

ということで、
大好きゲームベスト10(思い出補正付き)

10位 モンスターファーム
家にあるCDかたっぱしから読み込ませて、
借りてまで読ませて、
とにかく育成育成。
堀井の「××が死んじゃったよ」が恐怖だったなー。
特に大会でこれ言われるときつかった。

9位 チョコボの不思議なダンジョン
単純なゲームだけど、面白かったなー。
テレポカードが出て、ダンジョンから出るまで、
リビングのテレビ独り占め。

8位 ファイナルファンタジー7
ヒロインのうちの一人の鬱展開の上に、
主人公の激鬱展開は衝撃的だった。
ゲーム的にはすっごく面白かったな。
ゴールドソーサーで遊んだり、チョコボ育てたり。

7位 ウルティマ5&ウルティマ6
5は前述した通り。
6はスーファミ版でのプレイ。
ファミコン版のウルティマが超がっかりだったので
期待はちょっとだけだったけど、面白かったー。
みんな斜めに立ってたね。

6位 モンスターハンター4
今年前半遊んでたのでここにランクイン。
完全ソロプレイ。
なので太刀。ぐるんぐるんぐるん。
物欲センサーという言葉、久し振りに思い出したゲーム。
釣り大好き。

5位 スーパーロボット大戦シリーズ
ってもIMPACTまでかな。
ダンバインが出てこないのは興味がないのだった。
多分生涯ナンバーワンアニメ。
数値だけは高いがすぐに死んでしまうアムロ
自爆すら使えないボスボロット。
あー、このゲームもリビングテレビ独り占めゲーだったな。

4位 Moon
何度繰り返し遊んだことでだろうか。
その度に、「早く寝なさい」の声にびくってなった。
ノージがおもちゃの国に帰るのに立ち会えたのは一度だけだったな。
ジンギスカンもラブゲット出来たのは一度だけだった。
用がなくても、時々おばあちゃんちでクッキーもらってた。
釣り大好き。

3位 歴代どうぶつの森
実はこのランキングで数少ない繰り返し遊ばないゲーム。
でも全部遊んだ。どれも大好きで思い出深い。
また立ち上げたら、草ぼうぼうの村で、
わたしがいない間に引っ越してきた村のどうぶつに会うのかと思うと切な過ぎて、
久し振りにやろうかな、と思えないのだ。
その代わり、半年から一年ぐらいは毎日びっちり遊ぶ。
釣り大好き。

2位 ファイナルファンタジー9
前回遊んだ時に、カードがあと一枚集まらなかった事が、
今でも心残り。
ときどき、また遊びたくなる。
そして、遊ぶ。
同じところでヒロインにイラッとして、
同じところでジーンとして。
ちなみに
ジタンの名前はだいたい「しゅうまい」か「ぎょうざ」。

1位 ファイナルファンタジー11
なんだかんだで5年ぐらい遊んだのかな。
Sirenサーバーで小さいタルタルをメインで使ってました。
勿論ウィンダス出身。
初めは赤魔道師、次が白魔道師、狩人と、
当時残念職ばっかり選んでましたが、楽しかった。
家族に「じゃヴァナ・ディール行って来るから」と宣言してから
遊んでた。その間は家族はほったらかし。
今でも「月曜は裏」(定期的に裏世界へ行くイベントがあった)
だったのが印象深いと娘が言うのだが、
そういう母が嫌いじゃないらしい。
シナリオとしては「アルタナの神兵」までだったかな。
釣り大好き。


なんかFFばっかりだな。
他はシリーズとか纏めたけど、
FFは一作一作が別のゲームだからね。
ランク外になっちゃったけど、
6の戦略ゲームっぽいミニゲームも好きでした。

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