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ジャック・バルダン「グリシーヌ病院の惨劇」
読売新聞社

あたらしめのフレンチ・ミステリー。
1997年の<コニャック・ミステリー大賞>という
よく知らない賞を受賞した作品ということなのだけど、
あとがきを読むかぎりでは、
これは無名の新人の未発表作品を対象にした賞みたい。
ってことは、フレンチ・ミステリーの登竜門という感じ?

「老人ホームと精神病院を兼ねた病院」と形容される
グリシーヌ老人医療センターで、一人の老女が惨殺される。
折りしも7歳の少女がレイプされて殺されるという大きな事件で
警察はかかりっきりの状態。
2ヶ月前に刑事になったばかりの新米、アンドリュー刑事と
2年後に定年を控えるアルソノー刑事の二人が
この事件の捜査に当たる事になった。

これ、ちょっと変ってます。
フランスっぽいといえば、
いかにもフランスの新人くさい(ってどんな感じだよ)。
会話に皮肉がピリッと利いてて、
どっか飄々とした刑事たちの物腰。
ストーリー展開や何かよりも、とにかく作風が変ってて、
そればっかりが印象に残っちゃうんですよね。
究極の「神の視点」である作家の台詞が
物語の随所にちょこちょこ顔出して読者へ語りかけるだけじゃなくて、
二人の刑事たちの会話の中にさえ、読者への言及が為されてたりして……。

ミステリーのパロディっぽいんですよねぇ。
愛ゆえのパロディというか。
面白いといえば、面白いといえるかも。
(2001年8月18日)




あたらしめ、
とか言ってますが、なにせ2001年に書いた感想ですから。
っていうか
あたらしめって何だ、
古めってなんだってなりますね。
アルレー?ブリジット・オベール?
ジャン・ヴォートラン?ポール・アルテ?
ダニエル・ぺナック?シムノン?
ユベール・モンティエ?セバスチアン・ジャプリゾ?
モーリス・ルブランやガストン・ルルーぐらい古くなる?
ちなみに
今最も熱いのは
ピエール・ルメートルですよね。
残念ながら、
本書の作者であるジャック・バルダンは
この一冊しか翻訳されてないみたい。

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 2015_12_11




レーモン・クノー「文体練習」
朝日出版社


ああ、すっごく面白かった。
思わず、ほんとにぶっと噴き出してしまって、
家族にヘンな目で見られるほど面白かったです。

ここに登場するのは、
ある一つの場面を、さまざまな文体で書き分けるというもの。
さぞかし訳者さんは頭を絞りつつ密かにたのしまれたことでしょう。
その辺りの苦心はあとがきにてたっぷりと楽しめます。
訳者のあとがきを本編の附録として素直に楽しく読めるというのは、
私としてはめずらしい現象であります。

基本的な話は、お昼の混雑したバスの中のエピソードなんですが、
これを暗喩を用いて、びっくりしながら、予言調に、
ためらいながら、改まった手紙風に、新刊のご案内っぽく、
現在形で、荘重体で、下手糞に、ソネット形式で、電報で、
歌詞っぽく、短歌風に、コメディの医学用語で、罵倒しつつ、
モダンスタイルで、間投詞だけで、気取って、戯曲風に、
と99通りの書き方で表現してあるんです。
例えば
「古典的」と題されて、いきなり
「昼は、バス。満員のころはさらなり」
なんて始まるなんてもう、
噴き出してくれといってるとしか思えない。
元はギリシア語法で訳し様がなかったとか。
しゃれのキツイ訳者さんでうれしい。
「英語かぶれ」も激しくキュート。
「ハーイ。ワン・デイのミッデイにバスに乗ったらねっ」
これを「イギリス人のために」と比べても笑えます
「R he know off eel gallow」
だもん。ぱっと見は、英語か、と思いきや…。
「聴き違い」もぐっと来ます。
「主(あるじ)のお汁ごろ、餌付け糸を伸ばすの甲府鉄器で」

ここまで来ると、
レーモン・クノー原案、朝比奈弘治作
と言ってもいいのではないかしらと思えるぐらい。
そうそう、訳者あとがきによると、
この本を
フランス語を習得するためのテキスト
として使われることもあるんだとか。
(2005年8月3日)

 2015_10_02



レーモン・クノー「はまむぎ」
白水社

うう~ん、うう~ん。
すっごく読了に時間がかかってしまいました。
これを読んでると不思議に眠たくなっちゃうんですよね。
それも非常に気持良く。
分厚い本の割に、ソフトカバーで軽いのが理由なのか、
だっ誰を軸にして読み進んで行けばいいの?
というあっちこっちへ瞬間移動する視点の所為なのか
よく分かりませんが。

本の帯には
「数学とエロティスム、哲学と歴史、乾いたユーモアと詩の精神。
現代小説の新しい形式を用意した、レーモン・クノーの処女小説。」
とあります。
もちろん「現代小説の新しい形式」と言っても、
それは1933年当時の話なんですけどね。
この帯の文章を読むと、
どれだけ難解な小説なんだろう?って思うじゃないですか。
もちろんその期待を裏切る事のない非常に難解な小説ですが、
書いてあることが難しくて、全然訳わかんない……
って難しさではないんですよね。
一応、読み易いといえば読み易い文章なんです。
フランスの気取った猥雑さ、
みたいな雰囲気が良かったっすね。
どっちかと言えば解説の方が学術的で
何書いてあるのかよくわからなかったぐらい。
はあ~、私はそんなに難しい小説を読んでいたのね……
とびっくりしてしまいました。

やたら登場人物が多い上に、
エティエンヌだのサテュルナン、エルネスティーヌ、ナルサンスなんて言う、
馴染みのない長ったらしい名前が多くて、
半分寝ながら読んでることもあって、
すっかり混乱してしまいました。
これから読まれる方は、
何かにメモしながら読まれるといいかもしれません。
って、ゆーか、
もう一回今度はメモしながら読みたいですね。

そそ、最後になりますが、
少年テオと小人のべべ・トゥートゥーの悲喜劇じみたコンビが好きでした。
(2002年1月17日)




読み返したら、
どんな作品なのかさっぱり分からない感想だったという……。
褒めてるのか、けなしてるのか、
好きなのか、好きじゃないのか
それすらはっきりしないような。
10年以上の時を経てここで結論を出しますが、
けっこう気に入った作品でした。

 2015_10_01




レーモン・クノー「地下鉄のザジ」
中公文庫

フランスの小説です。
っていうかルイ・マル監督の同名の映画の原作といった方が分り易いかな。
いや、そうでもないか。

田舎から出てきた少女ザジは、
パリの地下鉄に乗る事を一番の楽しみにしていたのですが、
あいにくの地下鉄ストのため、それを果す事が出来ません。
ふてくされたザジはパリ中を駆けずり回り、
おかしくも厄介な事件を引き起こし周囲の大人達を振り回します。

主人公のザジの性格や行動だけがとっぴなわけじゃないのも楽しいですね。
変な人オンパレード。
ああ~やっぱりおフランスは変な国かもしれない、
しかもそれが容認される国なんだ……
と思わせてくれるんですよ。

「ザジ」って名前がめっちゃ印象的だよね。
フランスの女性の名前ってよくわかんないんだけど、
マドレーヌとかセリーヌとかってイカニモな名前では
絶対このくそ生意気で口の悪い女の子の味は出なかっただろうと思います。




上記の文章も、読書感想じゃなくて、レーモン・クノーのおすすめ本の紹介文でした。
っていっても、これを書いたときは、
この作品とあと一冊ぐらいしか読んでなかったような気もしますが。
 2015_09_30



ダニエル・ピクリ「ぼくらの原っぱ」
日本放送出版協会

1958年9月、パリ郊外の町に住むダニエルはもうすぐ10歳。
13人兄弟の11番目で、末の息子。
父はカリブの血を引くコーヒー色で、
母はフランス中部出身のミルク色、
そしてダニエルはカフェオレ色。
趣味はこむずかしい単語をノートにコレクションすることと、
コーヒーのおまけのモカレット人形を集める事。

そんなダニエル少年の<ぼく>の一人称で書かれた、
すっごく愉快で読んで幸せになるような物語です。
何かというと思いが千路に乱れて、
あらゆる事を思い出したり連想したりで、
ダニエルは学校ではやたら落ち着きのない困った生徒。
400頁以上の結構厚みのある本書の、
ほとんどが実はたった一日の出来事なんだけど、
ホントに何かって言うとあらゆることを思い出してどっかへ飛んで行くので、
ダニエルと家族の愉快であったかい、
奇妙な物語が存分に楽しめます。

甘酸っぱい、というより、
まだ未熟な酸っぱくてちょっとえぐみのあるフレッシュな果物みたいな作品です。
ちなみに、これは作者の自伝的小説なのだとか。




ダニエル・ピクリはフランスの人気作家らしいですが、
日本ではほとんど紹介がないですね。
それでいて、
わたし調べのマイナー度がこのあたりまで来ているのは
どういうことだろう。
ちなみに、あらためてチェックしてみると、
前回調べたときの三分の一近くにポイントが減ってます。
えーと
あらためて書きますが、
今、2001年から2005年の間に(読んで)書いた感想文を、
OCNのホームページサービスでサイトに纏めていたんですが、
OCNがそのサービスをやめるっていうんで、
もったいないから、
そこにアップしていた読書感想をこちらのブログにせっせと移している
というわけなんですが、
ただ転載というのも芸がないかと、
わたし調べマイナー度の高い作家の順から
アップしていこうというわけで、
グーグルに、カタカナ表記の作家名を打ち込んで、
そこで出た総検索数の低い順から転載している
という次第です。
「日本語のページ」「期間指定なし」「完全一致」
でぐぐってるわけなんですが、
さすがに本当に完全一致しているものしか拾わないわけじゃないので、
前回調べたときは、なにか「ダニエル」か「ピクリ」に
反応したものがあったんでしょうか。

ちなみに、
ダニエル・ピクリの日本語に訳された本は、
もう一冊「半ズボンの中のピンチ」
というのがあって、
「ぼくらの原っぱ」の続編で
ダニエル14歳というもの。
この本もわたしがよく利用する図書館にあって、
何度も借り出してるんですが、
なぜか一度も最後まで読めたことがないので、
今はもうあきらめて読んでません。
面白くないとかそういう段階ではなくて、
不思議と読めないまま返してしまう不思議な本だったりします。

 2015_09_08




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