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カズオ・イシグロ「女たちの遠い夏」

これは凄いです。好きかも。
前半はね、
わ~、ヤな女しか登場しないの?って思ってたんですが、
気がつくとすっかり引き込まれてました。
今、何度か感想を書き直して見たんだけど、
どうも上手く書けないみたい。
あらすじは抜きにして直接思った事だけを書きますね。

ヒロインである悦子と、
かつて日本に住んでいた頃に出会った佐和子という女性。
この別々の人生を生きる二人の女がいつしかシンクロして見える辺り、
ゾクッとするほどの凄さがありました。
でね、
も一つ鳥肌ものの凄さは、
悦子の苦い後悔や悲しみについて、甘い許しを与えてない所。
批判すらしていないというこの客観性、
これがカズオ・イシグロなのかぁって溜息ものでした。

そうそう、カズオ・イシグロの視点って、
日英の狭間にあるというよりは
どちらかといえばイギリス人としてのそれって感じがしました。
日本の描写に違和感があるって意味では無いんですが、
イギリスでの悦子と娘ニキのエピソードにそういう感じを受けました。
(読了日不明)

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 2016_10_15




カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」

時代は20世紀の真ん中ぐらい、
イギリスで駈け出しの探偵として暮らす青年クリストファー。
彼には幼い頃両親を相次いで失うという辛い過去があった。
長じた彼が探偵となったのも、
両親を探すという目的があったためだった。

このクリストファーの探偵としての華やかな日々に挿入される過去の日々。
それは両親と共に暮らしていた上海での日々だった。
貿易会社で働く父、アヘン貿易に反対する運動をしている美しい母、
そしてかけがえのない友達だった隣家の日本人少年アキラ。
砂上の城のごとき危うさを含みながらも
幸せに暮らす少年クリストファーだったが、
父が姿を消し、誘拐の捜査がされているうちに、
母もまた連れ去られたのだった。
探偵として名を馳せた今、
中国国民党と日本軍との戦火がまさに世界中に広がろうとしている中、
再び彼は上海の地に、両親を探しに降り立ったが……。

いや~、面白かったです。
特にクリストファーとアキラの織り成す
少年の日々のエピソードは素敵でした。
がっ、
上海についてからいきなりクリストファーが
ぶっこわれちゃうのには参ってしまいました。
なっ、何なの?
この狂信的な利己主義は。
もぅ、私はただただアキラの為に泣きました。
いや、泣くまではしなかったけど。
(読了日不明)
 2016_10_13




アンジェラ・カーター「ブラック・ヴィーナス」
河出書房新社

本書はアンジェラ・カーターの自選による短編集です。
アンジェラ・カーターというと、
長編「夜ごとのサーカス」「ワイズ・チルドレン」がとてもすきなんですが、
短編の方はどうもやっぱり私と相性が悪いようで残念です。
嫌いじゃない、というか好きなテイストの作品も多いのだけど、
ごてごてと飾りつけた饒舌さがどうも気になるんです。
体のどこかがむずむずするような…。

表題作「ブラック・ヴィーナス」は
ボードレールの褐色の肌の愛人の物語。
「哀しい、哀しい、サンドピンクにけむった、八月も終わりの夕べ、心をえぐり取られるような哀しさ。空一面を覆った雲の紗布(さふ)を切り裂き、射しこむ薄日、街は憂いに満ち、いいようのない苦い悔しさにさいなまれる。」
と続くこの出だしでいきなりうっと躓いてしまいました。
この他、エドガー・アラン・ポー、リジー・ボーデンなど、
実在の人物を下敷きにした作品がいくつか収録されてますが、
どうも読後にもやもやっとするものばかり。
何も響いてこないのが、逆に不安にさせられました。
理解出来ない私の感性が駄目ですか?みたいな感じで。
うーん、
ネームバリューのあるそれらの名前を出さずに、
一人の女、一人の男としてそれぞれがかかれていたら、
また違った感想になっていたかも知れないなってちらっと思いました。
あと雰囲気たっぷりのさまざまな措辞を半分削ってくれたら…。
白人女性がアメリカインディアンのある部族の一員となる
「わが殺戮の美女」も、なにか一つむずがゆい感じ。
あとがきには「マジック・リアリズム」という言葉があったけれど、
なんだか違うような気がしました。
ああ!こう、もっと「言葉」に酔って頭がぐるぐるするような…。
って、私の言葉もひどいものですが。
既存のイメージを引きずらないで読めた
「キッチン・チャイルド」は本書の中で一番素直に楽しめました。
(2005年4月15日)

 2016_09_25




アンジェラ・カーター「魔法の玩具店」
河出書房新社

「十五歳の夏、メラニーは自分の体が血の通った生身のものだと初めて気がついた。ああ、わたしのアメリカ、新発見の大陸よ。彼女は恍惚として探検の旅に出た。」
という文で始まる物語。
イギリスの田舎で裕福な生活を送っていた少女メラニーは、
突然両親を事故で失い、
弟妹と共に、ロンドンのまだ見ぬ叔父の家で暮すことになります。
そこは、妖しい玩具店で、
叔父の妻と彼女の二人の弟がメラニーたちを迎え入れてくれたのですが、
叔父フィリップは、気難しい、
操り人形に異常な熱心さを持った男だったのでした。
学校へ行くことも出来ず、
叔父の顔色を窺いながら息を詰めて暮す毎日の中で……。

性の目覚めと成長の痛みを描くって感じなのかな。
第一部での母のウエディングドレスと夜の庭での出来事。
第二部以降での、繰り返し叫ぶ鸚鵡、からくり玩具、
操り人形たち、深夜の音楽会など
妖しい雰囲気と不潔極まりない環境と閉塞感。
ううーん、
現実と幻想の間で揺れるメラニーの肌感覚が
めちゃめちゃ共感できます。
ラストの喪失へのつぶやきが切ないし。とても面白かったです。
物語的には、動きがあるのは第二部に入ってからなんだけど、
第一部がまたいいんですよ。
冒頭に引用した文章からも分るとおり、
性に目覚めたばかりの少女の喜びと畏れにむせ返りそうなぐらい。
メロドラマならば、きっと続きがあるだろうけど、
ここで終って続編が出ないところがうれしいな。
(2002年2月17日)

 2016_09_24




アンジェラ・カーター「血染めの部屋」
筑摩書房

これは、
主としてペローの童話をモチーフにした作品からなる短編集。
「青ひげ」を換骨奪胎した表題作「血染めの部屋」や
「赤ずきん」をモチーフにした「狼人間」「狼たちの仲間」など
10篇が収められています。

この間読んだカーターの短編集と比べると、
こっちのほうが面白いと思いました。
ヒステリックな感じがあまりしなかったような気がするからかな。
「赤ずきん」の解釈に、
赤いずきんは初潮をシンボライズしたもので、
狼は男性性、なんてのは結構有名で、
それに沿った解釈の「赤ずきんちゃん」だとつまんないな~
って思ってたんですが、
単にそういう路線で物語を再構成したのとは違ってて、
結構面白かったですね。

表題作の「血染めの部屋」や
最後の作品「狼アリス」も面白かったです。
最初は、こう似たようなモチーフの作品が続くと
ちょっとつらいかなって思ってたんですが、
案外どれも面白く読めましたね。
物語の隠し持ってる暗部をさらけ出して、
本当は童話って怖いのよ~っ
ていう作品じゃないのが良かったです。
(2002年2月11日)

 2016_07_20




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